国務院、空気の質を継続的に改善させるための行動計画を発表

(中国)

北京発

2023年12月20日

中国の国務院は12月7日、「空気の質を継続的に改善するための行動計画に関する通知」(国発[2023]24号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、計画)を発表した。計画では、全国の地級市以上の都市において2025年までに大気中の微小粒子状物質(PM2.5)濃度を2020年時点から10%削減するとともに、年間の重度汚染の発生日数(注1)を1%未満に抑制することを目指すとしている。

計画には、新たなクリーンエネルギー開発、天然ガス生産の拡大などの内容が盛り込まれた。2025年までに化石燃料由来ではないエネルギーの使用比率を全体の20%程度に引き上げ、最終エネルギー消費に占める電力の割合を全体の30%程度に引き上げることも求めている。また、石炭消費については、2025年までに京津冀(北京市・天津市・河北省)地域とその周辺地域において2020年比で10%程度削減する目標を掲げた。長江デルタ地域では5%程度の石炭消費削減が目標とされている。

そのほか、交通構造の最適化とグリーン交通システムの開発について、貨物輸送の構成の継続的な最適化と調整、非道路移動排出源(注2)の総合的な対策の強化、石油精製品の品質の保証、鉱山の生態環境の全面的な改善の促進などの取り組みが盛り込まれた。鉱山に関しては、京津冀およびその周辺地域では、2025年まで原則として露天掘り鉱山を新設しないとした。

生態環境部大気環境司の劉炳江司長は、中国の大気汚染改善の現状について「産業構造が化学工業に偏り、エネルギー構成の石炭依存度が高く、交通が道路交通に偏っている状況にはまだ根本的な改善が見られておらず、窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOCs)の処理もまだ道半ばだ」と指摘した。計画で挙げた対策について、劉氏は「PM2.5削減を主要任務とし、PM2.5の削減目標を明確化したほか、産業、エネルギー、交通の構造の調整、特に交通分野の低炭素でグリーンな方式への転換・発展と、窒素酸化物とVOCsなどの複合汚染物質の排出削減を強化することが強調された」と指摘したほか、「京津冀および周辺地域における大気汚染対策重点都市の数を『2+26』都市から『2+36』都市に調整すること(注3)によって、より広い範囲で地域共同の排出コントロールを行うことができる」との見方を示した。

(注1)大気質指数(Air Quality Index)による区分で、指数が201以上の重度汚染・厳重汚染状態の日数。

(注2)建設機械、農業機械、小型汎用機械、ディーゼル発電機、船舶、鉄道内燃機関車、航空機などを指す。

(注3)「2+26」は、2017年の「京津冀および周辺地域の2017年大気汚染防止対策プラン」で対象となった都市で、今回の計画では、それを調整した「2+36」の都市が対象となった。「2+36」には、直轄市である北京市、天津市(「2」)のほか、河北省の9都市(秦皇島市が追加)、山東省の13都市(棗荘市、東営市、濰坊市、泰安市、日照市、臨沂市の6都市が追加)、河南省の14都市〔洛陽市、平頂山市、許昌市、漯河市、三門峡市、商丘市、周口市(済源市を含む)の7都市が追加〕が含まれる。

(趙薇)

(中国)

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