山東省青島市、宅配業と製造業の統合発展が進む

(中国)

青島発

2023年12月28日

中国の国家郵政局は12月19日、山東省青島市で、宅配業と製造業の統合発展の成果を総括し、代表的なプロジェクトとトライアル先行区の業務経験を紹介する会議を開催した。

近年、国家郵政局は工業情報化部と協力して、両産業の統合発展を加速させ、良好な成果を上げている。中国政府の「第14次5カ年(2021~2025年)規画」と2035年に向けた長期ビジョンには「快逓進廠」(注)が盛り込まれ、全国ですでに累計1,900件余りの関連プロジェクトが事業収益100万元(約2,000万円、1元=約20円)超の事業に育っている。両分野の統合効果も表れており、統合によって製造業企業の在庫回転率、作業効率などの指標が向上し、宅配業者もサービスモデルの進化やサービス品質の向上といった経験を蓄積しつつある。

また、会議では、宅配企業が自動車、パソコン、携帯電話、家電製品、医薬、衣料品、軽工業などの重点分野の関連企業との提携を強化することとなった。宅配業のサービスは製造業の生産後のプロセスだけではなく、生産前と生産中のプロセスにも展開し、サービスの対象を消費段階から生産段階に転換させるとした。インターネットなどを活用して、製造業の在庫圧力と倉庫保管コストを削減し、サプライチェーンの安定・強化にも寄与するとした。

さらに、会議では、青島市に属する県級市の膠州市が「宅配業と製造業の統合発展トライアル先行区」に選出され、中国大手物流会社の順豊エクスプレス(SF)の青島支社(青島SF)と青島市を本拠とする電機メーカーのハイアール傘下のEC会社(ハイアール集団電子商務)との連携プロジェクトが、「宅配業と製造業を深く統合させた典型プロジェクト」に初の案件として選出された。青島SFは、家電製品の倉庫・配送一体化モデルを作ることで、倉庫、流通販売など各プロセスを統合したサプライチェーンシステムを構築し、ハイアールに対し、生産前、生産中、生産後の各段階でサービスを提供することにより、年間平均での宅配便取引量が130万件を超えた。具体的には、ハイアールの原材料輸出入の国際宅配便サービスや、書類や完成品小型家電の運送サービスの引き受け、ハイアールの実店舗や代理店に対するサービスなどを必要な段階で提供している。

現在、青島市では15件が国家郵政局の「宅配業と製造業の統合発展」プロジェクトに選出されており、SF、徳邦物流、京東(JD.com)などの大手宅配業者がハイアール、ハイセンス、オークマ、青島ビールなどの製造企業のサプライチェーンに組み込まれ、サプライチェーンの効率化と市場競争力の向上を支援している(「青島日報」12月19日)。

(注)宅配業を製造業の生産プロセスに深く組み込む取り組み。

(董玥涵)

(中国)

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