米グーグル、グーグルプレイの反トラスト法違反訴訟で和解金7億ドル支払いに合意

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月22日

米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は12月18日、米国グーグルのアプリストア「グーグルプレイ」の反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反を巡る訴訟に関する和解案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、グーグルが米国の消費者や州に対して総額7億ドルの和解金を支払うことで合意していたことが明らかになった。

和解には全米50州とコロンビア特別区などが応じた。グーグルは消費者向けの和解基金に6億3,000万ドル、州・地域向けの基金に7,000万ドルを支払う予定だが、裁判官による最終的な承認が必要となる(CNBC12月19日)。

今回和解案が提示された訴訟は、米国ユタ州など36の州とコロンビア特別区の司法長官が2021年8月に提訴したものだ。原告は、グーグルのアンドロイドOSを搭載したスマートフォン向けアプリストアで、競争を不当に制限し、選択肢を制限し、アプリの価格を引き上げることで消費者に損害を与えていることが反トラスト法に違反していると指摘していた。具体的には、(1)グーグルプレイでグーグルが競合するアプリの流通を実質的に遮断するといった排他的な行為に加え、グーグルプレイを通じて提供するアプリにグーグルの決済システム利用を要求し、アプリ内購入の際にグーグルへの最大30%の手数料支払いを消費者に強制していたこと、(2)過去にアプリ開発者や端末メーカーに対し、アンドロイドをオープンソースのかたちで提供し、開発者が互換性のあるアプリを作成し、不要な制限なしで配信できるようにすると約束していたが、その約束を守らなかったことなどが問題視されていた。

グーグルは今回の発表を踏まえ、自社の公式ブログで「この和解は、アンドロイドの選択肢と柔軟性に基づいており、強力なセキュリティー保護を維持し、グーグルがほかのOSメーカーと競争する能力を維持し、ユーザーと開発者のためにアンドロイドのエコシステムに投資するものだ。各州との訴訟を解決し、和解に向けて前進することを喜ばしく思う」とコメントしている。

グーグルは今回のほかにも訴訟を抱えている。例えば、オンラインゲーム「フォートナイト」を開発した米国のエピック・ゲームズは、グーグルプレイが反トラスト法に違反しているとして提訴し、12月11日にカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所がエピック・ゲームズ側の勝訴との判決を出した(ロイター12月11日)。そのほか、司法省とカリフォルニア州など8州は、グーグルがデジタル広告の売買を手掛ける主要な技術を独占しているとして提訴している(2023年1月25日記事参照)。米国の大手テック企業が反トラスト法違反で訴えられるケースは増加傾向にあり、今後も規制当局からの監視はさらに強化される可能性が高まっている。

(樫葉さくら)

(米国)

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