米司法省、デジタル広告技術の独占を理由にグーグルを提訴

(米国)

ニューヨーク発

2023年01月25日

米国司法省とカリフォルニア州など8州は1月24日、グーグルによるデジタル広告技術の独占が反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に違反するとして、同社をバージニア州東部地区連邦地方裁判所に提訴外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

司法省などは、グーグルがデジタル広告の売買を手掛ける主要な技術を独占していると主張した。同社が過去15年にわたり、買収を通じて競合企業を排除し、デジタル広告市場での支配力を利用してウェブサイト運営者と広告主に自社製品を使うよう強要し、競合製品の使用を妨害することにより、反競争的行為を行ってきたと問題視した。原告側は、これらの行為がシャーマン法の1条と2条に違反すると指摘している。同法は反トラスト法を構成する法律で、取引制限や独占化行為を禁じている。原告側は裁判所に対し、違反行為の是正措置として、グーグルにデジタル広告技術の一部売却などを命じるよう求めた。

一方、司法省の提訴に対し、グーグルのダン・テイラー・バイスプレジデントは同社のブログで「司法省はイノベーションを遅らせ、広告料金を引き上げ、何千もの小規模企業やウェブサイト運営者の成長を困難にする、欠陥のある議論を強めている」と批判した。インターネット広告市場における競争が拡大していることなどを示し、司法省などの主張に反論した。

司法省はトランプ前政権時の2020年10月にも、インターネット検索市場での反競争的行為を理由にグーグルを提訴している(2020年10月27日記事参照)。バイデン政権も大手テック企業をはじめとする大企業による市場支配への監視を強めており、ジョー・バイデン大統領は2021年7月、国内市場の競争促進のための大統領令に署名している(2021年7月12日記事参照)。バイデン大統領は、ウォールストリート・ジャーナル紙(1月10日)への寄稿で、大手テック企業による反競争的行為などに対処する超党派の法案を可決するよう連邦議会に求めている。

(甲斐野裕之)

(米国)

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