パキスタン物流大手、アフガニスタン経由物流を振興へ

(中央アジア、パキスタン、アフガニスタン)

タシケント発

2023年12月25日

今まで治安の問題などで利用は難しいとみられていた、中央アジア諸国とアフガニスタン経由でパキスタン・カラチ港を結ぶトラック輸送ルートの利用が進んでいる(20231214日記事参照)。パキスタン側で同ルートの開拓を主導する物流大手ティーシーエス(TCS)のアフメド・ザファル最高事業成長責任者(CGO)に話を聞いた(20231128日)。

写真 TCSのアフメド・ザファルCGO(本人提供)

TCSのアフメド・ザファルCGO(本人提供)

(問)御社の概要について。

(答)TCSは1983年に設立され、現在では年間1億2,000万件以上の貨物を取り扱い、パパキスタン国内に850台以上のGPS対応車両と100万平方フィート(約9万3,000平方メートル)以上の倉庫スペースを有している。TCSはクーリエとロジスティクスの2つの主要事業部門から成り、ドバイ、ロンドン、ウズベキスタンのタシケントに拠点を置いている。

(問)御社のアフガニスタン経由カラチ~中央アジア間のトラック輸送への取り組みについて。

(答)当社は2018年10月にパキスタンとアフガニスタン間で第1回のTIR(注)輸送を実施した。2022年4月に第2回の輸送を実施して以降、アフガニスタンを経由して主にウズベキスタン向けに300本以上のコンテナを輸送した。その過程で、ウズベキスタン運輸省と物流分野での長期的戦略的協力関係構築に関する覚書を締結した。

(問)アフガニスタン経由輸送ルート振興に向けた関係国政府の動き、サポートについて。

(答)2021年7月に通過貿易と2国間貿易を促進する目的で、ウズベキスタンとパキスタン政府間でトランジット貿易協定が締結された。駐パキスタン・アフガニスタン大使は2023年1月にイスラマバードで開催された地域接続性や物流に関するセミナーで、「パキスタンとアフガニスタン間の中継貿易を奨励・促進するためにあらゆる努力が払われている」と述べており、アフガニスタン国内輸送の難所であるサラン峠のトンネル改修が積極的に行われたことなどにも表れている。ウズベキスタン政府も運転手向けビザの発給、迅速な問題解決などに非常に協力的だ。このルートが中央アジア諸国にとって最適な物流中継ルートになることを期待している。

(注)「Transports Internationaux Routiers」の略称。経由国などで詰め替えなしに国境を通過する場合に利用される。

(高橋淳、山口和紀)

(中央アジア、パキスタン、アフガニスタン)

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