アフガニスタン経由トラック輸送の利用実績、積み上げ進む

(中央アジア、パキスタン、アフガニスタン)

タシケント発

2023年12月14日

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、中央アジアを取り巻く物流事情は大きく変わった。パキスタン・カラチ港からアフガニスタンを経由し、中央アジアへ至るトラック輸送ルートは、当初、アフガニスタン国内に関する情報不足もあり、外国企業にとって利用は難しいとされていた。しかし、ウズベキスタン向けを中心に同ルートの利用実績は着実に増加しており、輸送ルートの選択肢としての地位を確立しつつある。パキスタン・カラチに主な物流拠点を持つ米国物流企業ロジニックス・インターナショナル(Logenix International)のアザム・ドゥラニ中東地域代表に話を聞いた(2023年11月28日)。

写真 ロジニックス・インターナショナルのアザム・ドゥラニ中東地域代表(ジェトロ撮影)

ロジニックス・インターナショナルのアザム・ドゥラニ中東地域代表(ジェトロ撮影)

(問)御社のカラチからアフガニスタン向けと、アフガニスタン経由中央アジア向けトラック輸送の体制について。

(答)当社は過去15年以上、アフガニスタンでの米国国際開発庁(USAID)事業の輸送に携わり、現在ではアフガニスタンの複数の国連機関(注)と長期契約(LTA)を結んでいる。パキスタンから中央アジアに至るルートで、アフガニスタンのトールハム(パキスタン-アフガニスタン国境)、ジャラーラーバード、カブール、ハイラトン(アフガニスタン-トルクメニスタン国境)、ウズベキスタンのテルメズ(アフガニスタン-ウズベキスタン国境)に事務所を持つ唯一の物流会社だ。アフガニスタンの治安情勢はこの2年間で大きく改善され、大がかりなセキュリティー対策は必要なくなり、このルートで貨物は昼夜を問わず移動している。アフガニスタン政府は必要な歳入をもたらすため、中継貿易を促進している。

(問)アフガニスタン経由トラック物流ルートの現状の取扱貨物量と内容について。

(答)現在、パキスタン・カラチ港を経由し、アフガニスタンからウズベキスタンまで、月100本以上のコンテナを輸送している。ほとんどのコンテナはインドから輸送されており、日本、中国、インドネシア、タイ、韓国、マレーシア、ベトナムなどからの貨物の輸送も開始されている。在ウズベキスタンの大手韓国系物流企業を中心に、自動車組立工場向けの高額自動車部品、パーム油、食品、機械、鉱業用化学品、農業関連製品、医薬品、原材料、危険物、食品など多品目の貨物をウズベキスタンへ輸送している。中国経由では輸送が困難な、取り扱いに注意を要する危険物も輸送できる。

(注)国連児童基金(ユニセフ)、世界保健機関(WHO)、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)、国連食糧農業機関(UNFAO)、国連人間居住計画(UNHABITAT)、国連科学教育文化機関(ユネスコ)など。

(高橋淳、山口和紀)

(中央アジア、パキスタン、アフガニスタン)

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