成都市、水素エネルギー産業への日本企業の参画を期待
(中国、日本)
成都発
2023年12月18日
中国の成都市政府は12月6日、北京市内で水素エネルギー、環境保護、省エネ産業をテーマにした「成都対日開放協力促進会議」を開催した。成都市関係者や日系企業など約120人が参加。成都市側は経済情報化局、環境保護局、環境投資集団などが出席し、水素エネルギー産業や環境・省エネ産業について、四川省や成都市の優位性を強調し、各種プロジェクトや日本企業との協業ニーズなどについて紹介した。
同会議では、成都市経済情報化局新経済委員会新エネルギー処の張令普副処長が「水素の製造には、水の電気分解の方法がある。四川省は水資源が豊富で、水素製造に有利な条件を兼ね備えている」と述べた上で、水素産業の発展の方向性について、日本企業との協業を重視していく姿勢を示した。中国の大手発電設備メーカー東方電気は、同社の水素エネルギー産業の取り組みとして、15億元(約300億円、1元=約20円)を投じて、水素関連企業の集積地「東方水素産業園区」を建設中であることや、四川省で初めて水素ステーション用の据え置き型高圧水素貯蔵タンクの開発に成功したことなどを紹介し、水素の製造、貯蔵、輸送、充填(じゅうてん)といった産業サプライチェーン構築の中で日本企業の参画を期待していると表明した。
日本企業からは、パナソニックの現地法人の松下電器(中国)新エネルギー政策推進室の馬超マネジャーが独自開発の純水素型燃料電池や、同電池を活用した世界初の「水素燃料電池冷熱電総合エネルギープロジェクト」を紹介し、生活空間や街づくりなど、自動車以外での水素活用の可能性をアピールした。トヨタの現地法人の豊田汽車(中国)投資の商用FC事業推進部の蒋佳兵経理は、トヨタは中国各都市で水素エネルギー産業に力を入れており、燃料電池車の販売に向けた各種施策を講じる中、とりわけ四川省や成都市、重慶市は水素エネルギー産業の重点地域として重視していくとした。
四川省は近年、水素エネルギー産業の育成を進めている。特に成都市と重慶市の両都市では、水素エネルギー関連産業が重点領域とされ、両都市間の燃料電池車を用いた交通網の整備も進められている。2021年11月に四川省と重慶市は「成渝(成都、重慶)水素回廊」(注)の建設を開始すると発表し、水素エネルギー産業の育成に積極的に取り組んでいる(「重慶日報」、5月15日)。
(注)四川省や重慶市で高速道路を活用した水素エネルギーの迅速な輸送や水素燃料活用の輸送促進を目指す構想(2021年12月20日記事参照)。
(王植一)
(中国、日本)
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