米テキサス州、不法移民対策を強化、違法な越境を犯罪とする州法成立
(米国)
ヒューストン発
2023年12月20日
米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は12月18日、米国とメキシコの国境に接する州南部ブラウンズビルを訪ね、不法移民の流入阻止などを目的とする国境措置関連州法3法案に署名した。
アボット知事はトランプ前政権の政策の効果で「4年前、米国での違法な越境数は過去数十年で最も少なかった」とし、「ジョー・バイデン大統領による意図的な無策によってテキサス州は自力で守らざるを得なくなった」として、関連州法を成立させるに至った経緯について説明した。
成立した関連3法の概要は次のとおり。
- 15億4,000万ドルを国境沿いの壁建設に充てる。不法移民の温床とされる地域の州兵による警備費用に最大4,000万ドルを充てる。(2024年3月施行予定)
- メキシコからの違法な越境をテキサス州の犯罪とみなす。最長20年の懲役とし、母国への強制送還の仕組みを設ける。(2024年3月施行予定)
- 不法移民の支援や隠れ家の運営に関し、懲役期間を最低2年から10年に引き上げる。(2024年2月施行予定)
ホワイトハウスのアンジェロ・フェルナンデス報道官は「テキサス州の地域の安全を損なう極端な法律だ」とテキサス州を批判。移民法の違反により非市民をいつ、いかにして退去させるかを決めるのは州ではなく、連邦政府の役割だと指摘した(NBCニューズ12月19日)。テキサス州選出で、ヒスパニックコーカス(幹部会)所属のホアキン・カストロ連邦下院議員(民主党)のほか20人は同じく18日、メリック・ガーランド司法長官宛てに、州当局に不法移民の逮捕権限を付与する法律について、連邦司法省が法の執行を阻止すべく即時に介入するよう求めた。
アボット知事は2021年3月から「オペレーション・ローン・スター」と呼ばれる州独自の不法移民対策を実施している。テキサス州政府によると、これまでの対策の成果として48万9,500件以上の不法移民の摘発、3万7,500人以上の逮捕、大量の合成麻薬フェンタニルの押収などを挙げた。
アボット知事は11月19日、2024年の米国大統領選挙の共和党候補として立候補しているドナルド・トランプ前大統領の不法移民対策を評価し、同氏を支持すると表明している(2023年11月22日記事参照)。
(桜内政大)
(米国)
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