米テキサス州のアボット知事、トランプ前大統領への支持表明

(米国、メキシコ)

ヒューストン発

2023年11月22日

米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は11月19日、2024年米国大統領選挙の共和党候補として立候補しているドナルド・トランプ前大統領を支持すると、米国・メキシコ国境に近いテキサス州エディンバーグでの集会で表明した。複数のメディアが報じた。

アボット知事は「われわれは国境を守ろうとする大統領を必要としている」「本日ここで、トランプ前大統領が再度大統領になることへの支持を正式に表明する」と述べた。トランプ前大統領は「特にこの支持は大変な栄誉だ」と謝意を述べ、大統領に再度就任すれば、連邦政府の国境保護措置を拡大することで、アボット知事が不法移民対策以外の課題に集中して取り組めるようになるとの考えを述べた。1,954マイル(約3,100キロ)に延びる米・メキシコ国境のうち6割超がテキサス州にある。アボット知事は「大統領が持つ究極の責任は国家安全保障だ」とし、ジョー・バイデン大統領による移民政策を批判した。

アボット知事は2021年3月から「オペレーション・ローン・スター」(注1)と呼ばれる州独自の不法移民対策を実施している。国境沿いには州兵や州公安部の兵隊らを多い時で1万人動員。国境付近を流れるリオグランデ川沿いには、カミソリ有刺鉄線のコイルや越境者を防ぐ目的の巨大なブイを設置している。また、テキサス州で取り締まった不法移民を「サンクチュアリシティー(聖域都市)」(注2)と呼ばれる不法移民保護に寛容とされる都市に移送している(注3)。

テキサス州政府によると、これまでの対策の成果として48万4,100件以上の不法移民の摘発、3万6,600人以上の逮捕、大量の合成麻薬フェンタニルの押収などを挙げている。

トランプ前大統領は2021年6月、2022年11月のテキサス州知事選に臨むアボット知事への支持を表明、同知事は3選を果たしている(2022年11月9日記事参照)。

(注1)ローン・スター(1つ星)は、テキサス州の州旗からとった同州の愛称。

(注2)市政府が個人の移民状況を尋ねたり、その情報を当局に開示したりしない、また個人の移民状況に基づいて市のサービスを拒否したりしない自治体。米国移民関税執行局(Immigration Customs Enforcement)とは連携しない。

(注3)移送された人数は、ニューヨーク2万3,800人(2022年8月以降)、シカゴ1万9,100人(2022年8月以降)、首都ワシントン1万2,500人(2022年4月以降)、デンバー6,500人(今年5月以降)、フィラデルフィア3,200人(2022年11月以降)、ロサンゼルス1,100人(2023年6月以降)。テキサス州知事室11月17日リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます時点。

(桜内政大)

(米国、メキシコ)

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