北欧最大級のスタートアップ・イベント「SLUSH」に日本企業8社が出展

(フィンランド)

イノベーション部スタートアップ課

2023年12月18日

北欧最大級のスタートアップ・イベント「SLUSH」が、1130日~121日にフィンランドのヘルシンキで開催された。同イベントは2008年以降、アールト大学の学生を中心としたフィンランドの学生を主体に開催されている。「次世代を担う画期的な起業家を創出し、支援する」というミッションの下、ブース展示やカンファレンスのほか、投資家などとの個別商談マッチングが実施された。

2023年は、投資家3,000人とスタートアップ創業者ら5,000人を含む13,000人が来場した(注1)。メインステージにはユニコーン(時価総額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)を経て20239月に米国ナスダックへ上場を果たした、食品宅配サービスを展開するインスタカートのアシャ・シャルマ最高執行責任者(COO)や、スケジュール調整サービスを展開するカレンドリーのトープ・アウトナ最高経営責任者(CEO)、ビジネス用のメッセージングアプリを提供するスラック(注2)の創業者カル・ヘンダーソン氏らが登壇した。ヘンダーソン氏はスラック創業の歴史を語るなどし、多くの人が耳を傾けた。

写真 カレンドリーのトープ・アウトナCEOによる講演(ジェトロ撮影)

カレンドリーのトープ・アウトナCEOによる講演(ジェトロ撮影)

また、優勝者に対してベンチャーキャピタル(VC)5社から計100万ユーロが投資されるピッチイベント「SLUSH100」では、サステナブル消費の促進を志向し中古品のオンラインショッピングツールを展開するフェアカド(ドイツ)が優勝し、欧州地域の投資家のサステナブル投資への関心の高さがうかがえた。

日本からは自治体の東京都や仙台市、福岡市が出展したことに加えて、経済産業省のJ-StarX外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますプログラムを通じて起業を志す学生も来場するなど、日本人の来場者も多く見られた。

ジェトロのジャパンパビリオンには、日系スタートアップが8社出展。クリーンテックなどのサステナブル領域に関心のある投資家が多く訪れたほか、出展企業からは「半導体関連企業やEV(電気自動車)関連企業の訪問があった。興味を持っていただき、ビジネスにつなげられそうな良い機会だった」という声もあり、資金調達だけでなく販路開拓につながる機会もみられた。2日間という短期間のイベントだったが、多数のサイドイベントやSLUSHアプリの活用により、1日に約100件の商談を行った出展企業もあった。また、ロボティクス関連のユカイ工学が英メディア「スタートアップ マガジン」において「The Top10 Startups at SLUSH2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に選出されるなど、ジャパンパビリオン出展企業各社が欧州地域への進出・事業拡大に向けて勢いをつけた。

写真 ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

(注1)主催者ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますより。事前登録ベースの数値。

(注2)スラックは2021年7月、顧客管理ソリューションを提供する米セールスフォースに買収された。

(近藤千花子)

(フィンランド)

ビジネス短信 d0a86cdd1a52410d