2023年11月のインフレ率は前年同月比4.1%、1年8カ月ぶりの低水準

(フィリピン)

マニラ発

2023年12月25日

フィリピン統計庁(PSA)は12月5日、2023年11月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が前年同月比4.1%と発表した(添付資料図参照)。前月の4.9%から0.8ポイント低下し、2022年3月(4.0%)以来の低水準となった。フィリピンのインフレ率は、2023年1月に記録した8.7%をピークに低下傾向にある中で、台風による大雨・洪水の影響によりコメ価格が高騰したことなどから7月以降いったん上昇に転じたが、9月以降は再び低下している(2023年10月4日記事参照)。

部門・項目別にみると、食品・非アルコール飲料部門が前年同月比5.7%(10月:7.0%)に低下したことが主因となった(インフレ率全体に対する寄与率は52.6%)。中でも食品を項目別にみると、野菜(前年同月比マイナス2.0%、10月:11.9%)の価格が下落に転じたほか、魚(4.9%、10月:5.6%)、肉(0.5%、10月:0.8%)、砂糖(1.5%、10月:4.9%)、パン・その他の穀物(6.9%、10月:7.4%)、果物(13.1%、10月:13.5%)などでは伸び率が低下したため、食品全体として5.8%(10月:7.1%)となった。また、外食・宿泊サービス部門も、5.6%(10月:6.3%)に低下した(インフレ率全体に対する寄与率は13.2%)。なお、変動の激しい食品およびエネルギー部門を除いたコアインフレ率も、4.7%(10月:5.3%)に低下した。

国家経済開発庁(NEDA)は、今のインフレ率の低下傾向は、食料の安定供給戦略を適時に実施したためとしている。また、アルセニオ・バリサカン国家経済開発長官は「地政学的リスクや異常気象による物価上昇圧力が続くなか、政府はインフレ状況を監視し続けていく必要がある」と述べた。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン)

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