グジャラート州のパテル州首相が投資誘致で初来日、先端分野企業18社と個別面談

(インド、日本)

アーメダバード発

2023年12月07日

インド西部グジャラート州(GJ)のブペンドラ・パテル州首相が11月26~30日に訪日し、日本政府や自治体の要人、日本企業の経営幹部らと面談したほか、GJ州の投資環境(良質な電力、水、道路、港湾などの産業インフラ)や産業セクターごとの政策、投資インセンティブなどについて説明した。2024年1月に開催される大規模投資誘致イベント「バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VG)2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」への参加と、GJ州への新規投資も呼び掛けた。パテル州首相は2022年12月の州議会選挙で大勝、現在2期目を迎えているが、州首相としての訪日は今回が初めて。

パテル州首相には、ラージ・クマール首席次官を筆頭に、産業政策を担うS・J・ハイダー鉱工業次官など州政府の経済官僚が同行した。州政府が最重要と位置付ける半導体や電気自動車(EV)、車載電池、再生可能エネルギー、国際金融特区(GIFTシティー)など、先端産業分野のターゲット企業を事前にリストアップし、インドにあるジェトロの5事務所を通じて日本企業18社との個社面談を実現させた。日本企業側も、社長をはじめ経営幹部クラスが面談に応じた。

11月29日に都内で開催されたセミナーの「ロードショー」には、日本の企業や関係者が約200人参加した。パテル州首相は「政策主導で経済水準を高めてきたグジャラート州はインドの開発ロールモデルだ。未来志向の発展に向け、半導体、グリーン水素、e-モビリティー、国際金融などの各分野に注力しており、これら先進分野でもリーダーシップを取る準備ができている」と述べ、中央政府のナレンドラ・モディ首相が提唱する先進国入りビジョン「Viksit Bharat @2047(2047年インド先進国)」の実現に向け、「VG2024」は極めて重要な役割を担っており、日本からの投資を歓迎すると強調した。

ロードショーでは、スズキの鮎川堅一副社長がGJ州での成功と長い経験に基づき、同州は約束を守る信頼に足る州だと指摘し、既にコミットしているEVや車載電池の具体化、さらにその先の大きな展開の可能性に言及した。また、アルセロール・ミッタル・ニッポンスチール・インディア(AM/NS India)の久保田佳司副ディレクター (人事・総務担当)は「わが社が建設すれば、インドが建設される」を合言葉に、最新鋭のインフラ構築に向けた投資による鉄鋼生産能力拡大計画を推進していることや、これに対してGJ州政府の支援は言行一致していると述べた。ジェトロの仲條一哉理事は「モディ首相の先見的な指導力、アイデアや産業政策を信頼し、ジェトロはグジャラート州を高く評価し、ともに歩んできた」と述べ、ジェトロ・アーメダバード事務所の古川毅彦所長は、GJ州には「モディ首相-パテル州首相」という「2つのエンジン」があり、政治的安定に基づく産業政策の一貫性が大きな推進力になっていると指摘した。

GJ州でアーメダバード-ムンバイ高速鉄道の建設が加速している中、パテル州首相は29日夜に新幹線で神戸に移動し、30日には同州と文化交流がある兵庫県の齋藤元彦知事を訪問。関西のインド人コミュニティーや産業界とも交流を行った。

写真 11月29日に都内で開催されたロードショーの参加者(ジェトロ撮影)

都内で開催されたロードショーの参加者(11月29日、ジェトロ撮影)

(古川毅彦)

(インド、日本)

ビジネス短信 bb046a4a7850a259