政府、電力多消費事業者への支援策決定

(チェコ)

プラハ発

2023年12月21日

チェコ内閣は12月13日、電力多消費事業者に対する支援策を承認した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2024年1月付で、高圧需要企業と超高圧需要企業(注1)を対象に、再生可能エネルギー賦課金(注2)の負担額を引き下げ、メガワット時(MWh)当たり495コルナ〔付加価値税を含まず。約3,168円、1コルナ=約6.4円(12月19日チェコ国立銀行為替レート)〕から、それぞれ388コルナ、328コルナとする。

政府は引き下げ対象を約2万5,000件と見積もっており、国家予算から総額35億コルナを割り当てる予定だ。

これに先立ち、エネルギー統制局(ERU)は11月30日、2024年の電気料金の統制価格(注3)について、低圧需要企業に対して平均65.7%、高圧需要企業に対して105.5%、超高圧需要企業に対して190.9%引き上げることを発表していた。同局によると、統制価格が電気料金全体に占める割合は、低圧需要企業向け39.2%、高圧需要企業向け29%、超高圧需要企業向け21%となっている。産業界は、特に電力多消費事業者の製品の価格競争力低下を危惧して政府に対策を求めており、今回の政府の支援策決定はこの要望に応えたかたちだ。

ペトル・フィアラ首相は12月13日の閣僚会議後の記者会見で「政府は、産業連盟と商工会議所とともに、ERUの統制価格決定から2週間以内に、チェコ企業の国際競争力を維持し、雇用の維持、経済成長強化にもつながる解決策を見いだした」と述べた。また、支援を電力多消費事業者のみに限定したことについては「需要者全員を対象に助成することは不可能だ。そのため、料金引き上げにより存続危機に陥る可能性のある事業者のみを対象とした」と説明している。

政府は、経済動向により今後も柔軟に支援を検討する方針を明らかにした。ズビニェック・スタニュラ財務相は同日の記者会見で「2024年も産業連盟、商工会議所と定期的に会談し、エネルギー統制価格の引き上げに対応する体系的な解決方法について話し合いをする予定」とした上で、「政府は、今後も経済に何らかのネガティブな動きがあった場合には、企業への支援の方法を探っていく」と述べた。

(注1)高圧は1001ボルト~52キロボルト、超高圧は53キロボルト~300キロボルト。

(注2)再エネ導入促進を目的として、再エネ買い取り価格と市場価格の差などの補填(ほてん)のため、ユーザーに転嫁される単位使用量当たりの追加料金。

(注3)電気料金は国家機関のERUが定める統制価格と、各電力会社が定める非統制価格(市場価格)とから成る。統制価格は配電網の維持・管理などを目的として徴収する料金で、再エネ賦課金もこれに含まれる。

(中川圭子)

(チェコ)

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