2024年のGDP成長率4.4%と予測するも、予算編成は赤字予算に
(サウジアラビア)
リヤド発
2023年12月12日
サウジアラビア政府は12月6日、総額1兆2,510億リヤルの歳出規模(約48兆7,890億円、1リヤル=約39円)の2024年国家予算を発表した。
2024年の歳入は、2023年予算編成時比3.7%増、2023年歳入実績見込み比1.8%減の1兆1,720億リヤルとなった。2024年の歳出は、2023年予算編成時比12.3%増、2023年歳出実績見込み比1.9%減の1兆2,510億リヤル、また、GDP全体の約1.9%を占める790億リヤルを2024年の財政赤字として試算した(添付資料表1参照)。
2024年予算について、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相は、インフラや国民・居住者・訪問者に提供するサービスの質を向上させ、有望な経済セクターの発展や投資誘致の強化、非石油経済の成長促進を目指すとしている。また、サウジアラビアの経済能力を強化して公的債務の持続可能な水準を維持し、あらゆる危機に立ち向かうことができるように財政能力を向上させ、政府準備金を構築し、財政パフォーマンスを発展させる取り組みを継続すると述べた。また、経済の多様化とサウジアラビア人労働者の雇用機会の増加目標を達成するために、民間部門とのパートナーシップを強化するとしている。
2024年の歳出を支出項目別にみると、最大の歳出項目は「軍事」の2,690億リヤル(2023年歳出実績見込み比8.5%増)だった。これに、国際機関への拠出などが含まれる「一般項目」の2,160億リヤル(増減なし)、「医療・社会開発」の2,140億リヤル(同14.4%減)、「教育」の1,950億リヤル(同3.5%減)が続く(添付資料表2参照)。
財務省は、2023年のGDP成長率を自主的な石油生産削減により0.03%と見込み、2024年のGDP成長率を4.4%と予測した。また、同省は2025年にGDPの1.6%、2026年にGDPの2.3%を財政赤字に計上するとしている。
同省は、経済成長を支える拡張的な支出政策の結果、限定的な財政赤字が中期的に続くため、借り入れによって資金需要に対応し、資金源の多様化を目指すとしている。
(林憲忠)
(サウジアラビア)
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