第3四半期GDPは前期比0.3%増、スイス経済は緩やかな成長

(スイス)

ジュネーブ発

2023年12月12日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は12月1日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(注1)を前期比0.3%(季節調整、スポーツイベント調整後、注2)と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表1参照)。国際情勢は依然として厳しく、製造部門が停滞する中、サービス部門が再び経済成長を下支えた。

第3四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、政府消費支出は前期比0.5%と力強く伸び、内需に最も大きく寄与した。個人消費支出は0.2%増と緩やかな伸びにとどまった。2023年9月は観測史上、最も暖かかったため、暖房需要が大幅に減少した。建築需要の減少の影響を受けて、建設投資は0.2%増と弱い伸びにとどまり、設備投資は1.1%減と2四半期連続の減少だった。研究開発、電子製品、自動車への投資は増加した一方、他の分野への投資は減少した。財貨の輸出は6.2%増と大幅に増加した。

産業別にみると、前期に大きく落ち込んだ製造業は、ゼロ成長となった(添付資料表2参照)。化学・医薬品は、好調な輸出と販売に牽引されて1.2%増だったが、機械・金属工業など景気に敏感なセクターは世界的な需要低迷の影響を受けて、わずかな伸びにとどまった。サービス部門は、保健衛生・社会事業と公共サービスがともに0.7%増、卸売・小売業が1.1%増と伸びた。運輸・通信業は、旅客輸送の増加が物品輸送の減速によって相殺され、0.3%増と緩やかに伸びた。一方、ビジネス関連サービス業は0.1%減となり、宿泊・飲食サービス業は3.7%減と2年ぶりに減少に転じた。サービス部門は全体的に過去平均を下回り、サービスの輸出が0.4%増、国内最終需要がゼロ成長と低調なことと合致している。

(注1)スイス国立銀行(SNB)は2023 年第1四半期(1~3月)に新たな統計調査を導入し、統計調査は国民経済統計のさまざまな計算過程で使用されるため、第3四半期を含む今後数四半期の統計は後日、大幅に修正される可能性がある。

(注2)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えてスポーツイベント調整後の数値。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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