東レ、インド南部で高性能フィルターの一貫生産開始

(インド、日本)

調査部アジア大洋州課

2023年12月14日

東レ・インディアは10月31日、インド南部アンドラ・プラデシュ州のスリ・シティ工業団地の工場で、高性能エアフィルター製品の生産を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回新設した工場は、インドで初めて高性能フィルターのろ材用不織布から最終製品の組み立てまでを一貫生産する拠点となる。今後、空気清浄機、自動車、エアコン、空調用など多岐にわたるエアフィルター製品を生産供給していく計画だ。

東レ・インディアが生産拠点を新設した背景として、インド国内で高性能エアフィルター製品の需要拡大が今後見込まれる点がある。インドは世界の中でも大気汚染が厳しい国である一方、環境や健康意識が比較的高い富裕者層や上位中間層は増加傾向にあるとされる。同社エアフィルター事業部門長の清水寛之氏は、ジェトロの取材(12月6日)に対し、「エアコン普及率が5~7%程度であるインドにおいて、空気清浄機市場拡大に加え、空気清浄機の浸透には時間がかかるだろうが、自動車やビルのエアコンに高性能フィルターを取り入れるインド地場メーカーも出てきている」と語る。同社としては、日系メーカーだけでなく、そのようなインド地場を含めた非日系メーカーとの取引拡大を図りたい考えだ。

また、東レグループとしては、2012年から中国でエアフィルター用不織布を生産しており、インドは世界で2カ所目の生産拠点となる。インドと中国の2カ国でエアフィルター製品の生産が可能になったことで、ASEANなどの各国での需要に対しても、同グループはより安定的に関連製品を供給できる態勢が整った。

東レ・インディアは、すでに同工業団地内で、自動車の電装部品などに使われるエンジニアリングプラスチックのコンパウンドや、紙おむつ素材のポリプロピレンスパボンドなどの製造を行っており、高性能エアフィルターは3種類目の製品系列となる。同社の末永繁一会長は「インドの経済成長に伴う需要の多様化に合わせて、今後も事業を拡大していきたい」としている。

写真 新設工場の外観(東レ提供)

新設工場の外観(東レ提供)

(深津佑野、広木拓)

(インド、日本)

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