IMF、アルジェリア経済に関するIMF4条協議を公表

(アルジェリア)

パリ発

2023年12月25日

IMFは12月14日付で、12月3~14日にアルジェリアの首都アルジェにおいて、同国経済に関するIMF4条協議(注)を実施したことについて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

IMFは、エネルギー、工業、建設、サービス部門の堅調な成長により、2023年のアルジェリア経済の成長率(実質GDP伸び率)を4.2%と予測している。経常収支については、主要輸出品目の天然ガスなど炭化水素の価格が下落したものの、即時に販売価格に反映されなかったため、2年連続で黒字を維持するとしている。また、外貨準備高は10月末時点で輸入の約14カ月分に相当し、高水準にあるとしている。

もっとも、懸念事項の1つは高水準で推移しているインフレで、為替レートの上昇が輸入インフレの抑制に貢献したが、生鮮食品価格がインフレの要因となり、2023年の年平均インフレ率予測は9.2%に達する。また、財政赤字は、公務員の給与、社会保障や福祉給付などの医療保険や年金関連支出、投資支出の増加を受け、GDP比6.7%に達するとの予測だ。

IMFミッション団長のクリス・ゲーレガット氏は、上記の予測を総合的に評価した上で、アルジェリア経済の目先の見通しについて、おおむね良好と評価した。具体的な数字は発表しなかったが、2024年も同国の経済成長率は引き続き順調に推移し、インフレ率は緩やかな水準に戻るとコメントした。また、炭化水素価格のさらなる低下と輸入の緩やかな回復を受けても、2024年の経常収支はわずかな黒字を維持するとみている。経済の多角化による脱炭化水素依存、民間投資の拡大、ビジネス環境の改善などを目指したアルジェリア政府の経済政策方針も評価した。一方で、財政赤字については、2023年と同じ要因により2024年もさらに拡大するとしており、これについては、炭化水素収入を蓄積したアルジェリア歳入調整基金(Revenue Regulation Fund)からの徴収を通じて差額を補うことになるという。

またIMFは、今後のアルジェリア経済にはいくつかのリスクがあることを指摘する。それによると、「インフレが高止まりする可能性があり、炭化水素価格の変動は成長と歳入に影響を及ぼす可能性がある」という。大幅な財政赤字の持続も懸念されるなか、中期的な経済見通しを高めるには、同政策の着実な実施とさらなる改革が必要だとした。その上で、財政政策の漸進的なリバランス、中央銀行による政策金利の積極的な活用、新たな金融政策の導入、為替レートのさらなる柔軟性に関する措置を勧告した。

(注)IMF協定第4条の規定に基づき、加盟国と行う協議で、IMF代表団が協議相手国を訪問し、経済・金融情報を収集するとともに、その国の経済状況や政策について政府当局者などと協議するもの。協議の結果は、IMFスタッフが4条協議報告書(スタッフレポート)としてまとめ、IMF理事会に提出する。その後、IMFホームページに掲載される。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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