ハリス米副大統領、COP28首脳級会合で演説、エネルギー転換に10年間で1兆ドル投資と発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月05日

米国のカマラ・ハリス副大統領は12月2日、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)首脳級会合に出席し、「公正、公平で秩序あるエネルギー転換の促進外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題して講演を行った。

ハリス副大統領は、気候変動対策に関し、「漸進的に進める余裕はなく、革新的な変革と指数関数的なインパクトが必要」と決意を述べた。そして、「気候変動は実在する脅威として扱うべきもので、勇気と信念をもって先頭に立って取り組まねばならない私たちの義務だ」とした。

その上で、米国は今後10年間で世界最大の1兆ドルの投資によりこの目標を達成する過程にあるとの考えを示し、「2030年までにエネルギー効率を2倍にし、再生可能エネルギー容量を3倍にするという目標に115カ国以上が参加していることを誇りに思う」と述べた。

写真 COP28の首脳級会合で演説するハリス米副大統領(ジェトロ撮影)

COP28の首脳級会合で演説するハリス米副大統領(ジェトロ撮影)

具体的な取り組みとして、(1)2023年だけで30ギガワットを超える太陽光発電を建設、(2)再生可能エネルギーを送電するために何千マイルもの高効率な高圧送電線を建設、(3)エネルギー効率を向上させるために、家庭や企業がエネルギーのアップグレードを導入することを支援、(4)イノベーションのためにクリーンエネルギー関連の研究開発に数十億ドルを投資、などインフレ削減法(IRA)やインフラ投資雇用法(IIJA)などに基づく各種取り組みについて紹介した。また、「こうした米国の再生可能エネルギーの生産とイノベーションを増進させることで、世界中の再生可能エネルギー技術のコストを下げ、世界中の国々がより手頃な価格で再生可能エネルギーにアクセスできるようになる」と述べ、その意義を強調した。

また、米国が同日、既存の石炭火力発電を2030年までに段階的廃止を誓約する国際的なグループである脱石炭国際連盟(PPCA)に参加したことを踏まえ、米国が10年以上前に建設を中止した石炭火力発電所を引き合いに、全ての国に石炭火力発電所の建設を中止するよう求めていく考えを示した。

このほか、国際協力として、発展途上国によるクリーンエネルギー経済の構築を支援する目的で、米国が世界中でクリーンエネルギーのサプライチェーンを構築するための新たなパートナーシップを立ち上げること、この一環としてクリーンエネルギー製造への投資促進を目的とした5億6,800万ドルの融資を行うこと、などにも言及した。

(加藤翔一)

(米国)

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