主要経済研究所が2024年の経済予測を下方修正、連邦予算がリスク要因

(ドイツ)

調査部欧州課

2023年12月28日

ドイツの主要な4つの経済研究所は12月に入り、相次いで冬季経済予測を発表した。いずれの研究所も2024年の実質GDP成長率について、秋季経済予測を下方修正する内容だった。

各研究所が発表した2023年、2024年の予測は次のとおり(添付資料表1参照)。

  • キール世界経済研究所(IfW):12月13日、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.3%(秋季予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.2ポイント上方修正)、2024年を0.9%(同0.4ポイント下方修正)とする冬季予測を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
  • ifo経済研究所:12月14日、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.3%(秋季予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.1ポイント上方修正)、2024年を0.9%(同0.5ポイント下方修正)とする冬季予測を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
  • ライプニッツ経済研究所(RWI):12月14日、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.3%(秋季予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.3ポイント上方修正)、2024年を0.8%(同0.3ポイント下方修正)とする冬季予測を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
  • ドイツ経済研究所(DIW):12月14日、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.3%(秋季予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.1ポイント上方修正)、2024年を0.6%(同0.6ポイント下方修正)とする冬季予測を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

IfW、ifo経済研究所、DIWは、連邦予算を巡る混乱や歳出削減が今後の景気動向のリスク要因と指摘した。例えばifo経済研究所は、景気は回復基調だが、今後の連邦予算の再編成の内容次第では、現時点での経済予測が楽観的すぎるものになるとの見方だ。

企業の景況感も12月に悪化した。ifo経済研究所が18日に発表した12月の企業の景況感外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2015年=100)は前月から0.8ポイント減の86.4だった(添付資料図参照)。悪化は4カ月ぶり。現状を示す指数は前月から0.9ポイント減の88.5、6カ月先の期待を示す指数は0.8ポイント減の84.3で、企業は現状と先行きの両方に不満や不安を抱えている。

2024年予算は未成立、年明けから審議

連邦議会(下院)では2023年9月に2024年予算案の審議を開始した。同予算案の目玉は「気候・変革基金(KTF)」(2023年8月23日記事参照)で、新型コロナウイルス対策予算の未使用分の600億ユーロをKTFの財源に転用していた。しかし、11月15日に連邦憲法裁判所が、600億ユーロのKTFへの転用は憲法違反のため当該転用をする予算措置は無効と判断、歳出削減のための予算再編成が必須になった。まず、政府は2023年予算の再編を行ないKTFの予算を減額、早速、KTFが財源の低排出ガス車購入助成を12月17日に終了した(2023年12月25日記事参照)。政府は、新たな2024年予算案の大枠を19日付で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。裁判所の同判断に従い、当初の予算案から170億ユーロ削減が必要となる。政府は、新たな2024年予算案は2024年1月末に連邦議会、2月2日に連邦参議院(上院)を通過し成立見込みとしている。

(二片すず)

(ドイツ)

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