国境貿易・投資の促進に向けた戦略計画(2024~2027年)を策定
(タイ)
バンコク発
2023年12月28日
タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商務相は12月15日、国境・トランジット貿易投資促進委員会の会合を終え、タイの陸上国境を通じた国境貿易額(隣国との貿易のほか、隣国を通過した第三国との貿易を含む)を3年以内に2兆バーツ(約8兆2,000億円、1バーツ=約4.1円)に拡大させる目標を定めたことを明らかにした。2023年1~10月における国境貿易額は約1兆4,500億バーツとなっている。
同委員会は国境貿易を促進するため、4つの小委員会を設置する。
- 「タイの貿易拡大に向けた競争力開発」小委員会
- 「タイのポテンシャル向上に向けた、国境地域における利便性向上(輸送システム/ロジスティクスも含む)」小委員会
- 「協定・協力枠組みの利活用促進」小委員会
- 「国境地域および隣国投資促進」小委員会
上記に加えて、2024年から2027年にかけての国境貿易・投資戦略として次の計画を策定した。
- (一時的だった)3つの国境貿易検問所を恒久化する。プラチュアップ・キリカーン県のシンコーン検問所は、ミャンマーと詳細な共同調査に向けて交渉を進める。同じくミャンマー国境のあるメーホンソン県のバンフアイヌン検問所は、共同調査に向けて検討を進める。カンボジア国境のあるチャンタブリー県のバンサブタリ検問所は、「タイのポテンシャル向上に向けた、国境地域における利便性向上」小委員会が改善を担当する。
- ミャンマー国境があるターク県メーソット第2国境検問所で、X線検査場の建設工事のため発生している貨物の輸出入の遅延に対処する。
- 近隣諸国と交換しているデジタル形式での原産地証明書(C/O)に、技術的なエラーが生じており、対応に向けて連携する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、インドネシアで修正対応が行われ、フィリピンは対応検討中だ。
- 第3タイ・ラオス友好橋からつながるラオスの国道12号線ルート(タイ側のナコンパノム~ラオス側のタケーク~ラオスのベトナム国境ナムパオ)の改善に向け、政府に予算措置を要求する。タイの周辺国経済開発協力機構(NEDA)が内閣に承認を求めている。
プームタム副首相によれば、タイは2023年中、国境を有する8県(チェンライ、ターク、トラート、ソンクラー、ノンカイ、ナコンパノム、ムクダハン、ウドンタニ)にワンストップサービス(OSS)施設(注)を設置した。タイ荷主協会(TNSC)のチャイチャン・チャルーンスック会長は、OSSによる時間・コストの削減に期待を示しており、鮮度の高い農産品を輸出する上では、迅速な通関と輸送がカギとなる、としている。
(注)OSS施設は、陸上国境を通じた貿易の複雑さを解消するために設置された。物品の流れを円滑化させる狙いがある。通関・入国管理・検疫(CIQ)サービスを一元化し、貨物の通関が1カ所で手続きできるようにする。なお、ウドンタニ県に国境はないが、ラオス国境のあるノンカイ県を支援する目的でOSSが設置されている。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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