政府が物流コスト報告書を発表、統計データ算出の枠組み設定
(インド)
ムンバイ発
2023年12月22日
インド商工省産業国内取引促進局(DPIIT)は12月14日、「インドの物流コスト」報告書を発表した。同報告書は、各分野の専門家やアジア開発銀行(ADB)の代表者で構成したタスクフォースとインド国立応用経済研究所(NCAER)が作成した。
インド政府は2022年9月に発表した国家物流政策で、2030年までにインドの物流コストを世界水準と同レベルまで削減することを目標に掲げている。一方、これまで物流コストについて公式な推計値を算出することができていなかった。目標達成に向けて、物流コストの現状を科学的に把握する方法を確立し、実態に即したデータに基づいて政策立案を行うことが重要とし、報告書では、長期にわたって物流コストの実態を把握するためのフレームワーク(枠組み)を提言した。
報告書内では、今回考案されたフレームワークによって算出した統計データを基に、2011年度(2011年4月~2012年3月)以降(2019年度、2020年度分は未発表)のGDPに占める物流コスト統計を発表した。それによると、GDPに占める物流コストの割合は2014年度(8.3~9.4%)から2016年度(7.8~8.8%)にかけて低下したが、2017年度(7.9~9.0%)と2018年度(8.1~9.2%)は上昇した。この要因として、2014年度から2016年度には GDP成長率が物流コストの上昇率を上回ったことに加えて、同時期に燃料価格が下落したたことを挙げた。また、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)禍後の2021年度は7.9~8.9%で、新型コロナ禍前の2018年度と比較してわずかながら低下した。
ジェトロが行った「インドにおける物流実態調査(2022年2月公開)(15.9MB)」によると、インドでは主要製造業国と比較して、粗付加価値額に対する物流費率が高く、製造業の物流コストの高さが課題となっている。今後、インドが物流にかかるデータの収集と分析に注力し、その結果が政策に反映されることが期待される。
(丸山春花)
(インド)
ビジネス短信 779c312be8c0de6f