不動産コンサル大手、GJ州がインド製造業部門の投資受け入れ最適州と予測

(インド)

アーメダバード発

2023年12月22日

総合不動産コンサルティング大手で投資運用を手掛けるコリア―ズ・インディアが12月13日に発表した調査レポートによると、インドの製造業分野の市場規模は、2025年年度に1兆ドルに達する可能性があり、今後、製造業分野ではグジャラート(GJ)州が重要な役割を果たすと予想している。同調査では、GJ州が製造業投資に最も適した場所としてトップにランキングされ、2位はマハーラーシュトラ州、3位はタミル・ナドゥ州となった。

GJ州が投資誘致に成功している要因として、地元メディアでは、(1)安定した政権統治、(2)港湾、道路、鉄道などインフラの良好な接続性、(3)競争力のある土地、(4)水・電力・再生可能エネルギー資源の価格、(5)州政府の迅速な意思決定や支援策を受けた豊富な労働力、などとビジネスフレンドリーな投資環境があげられている。さらに、GJ州政府は新産業政策により、インセンティブや補助金の約34.7%を製造業部門に割り当てている点を指摘している。産業政策、資源、投資環境が戦略的に整合していることが、同州をインドの製造業ハブにすることに貢献していると強調している(デシ・グジャラート2023年12月20日)。

また、インド最大級の投資誘致イベントとして地位を確立してきた「バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VG2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2024年1月に第10回を開催予定)が果たしてきた役割も重要だとしている。GJ州政府は同サミット開催を通じて、多額の投資計画の覚書(MOU)を高い確率で投資プロジェクトに結実させてきたが、同時に世界の産業界の要求を見極め、行政サービスやインフラ開発につなげる場としても位置付けてきたと指摘している。

2024年1月のVG2024開催に向けても、GJ州政府はこれまで新たな投資案件に関するMOUを着実に締結してきた。2023年12月13日には、港湾、電力、自動車、工業団地、繊維、アパレルなどの分野において新たに23件、投資総額1兆ルピー(約1兆7,000億円、1ルピー=約1.7円)に上るMOUを締結し(タイムズ・オブ・インディア2023年12月14日)、12月20日にはさらに47件を締結した。これまでに州政府が締結したMOU案件は合計147件、投資総額2兆9,100憶ルピーに上るとされる(GJ州政府プレスリリース)。

インド連邦政府は、半導体や電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなど、先端産業分野において、さまざまな産業政策を打ち出している。良好な投資環境を背景に、GJ州がこれら先端産業分野の多くでリーダーシップを発揮しつつあることに注目が集まる。

(古川毅彦)

(インド)

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