ジェトロ、海外水産バイヤーを三陸・福島に招聘、商談ツアー実施

(青森、岩手、宮城、福島、米国、カナダ、シンガポール)

海外展開支援部戦略企画課

2023年12月21日

ジェトロは1239日、青森、岩手、宮城の三陸地域と福島県の水産品の輸出支援を目的とした海外バイヤーによる商談ツアーを行った。ジェトロ各県(青森、岩手、宮城、福島)の貿易情報センターが企画した。

この事業は、20238月に始まった東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に伴い、一部の国・地域で日本産水産物などの輸入を停止したことを受けて実施したもの(2023824日記事2023825日記事参照)。三陸地域と福島県の水産事業者が海外バイヤーと直接商談する機会とし、新規の商流構築につなげることを目的とした。今回招聘(しょうへい)された海外バイヤーは米国3社、カナダ1社、シンガポール2社の計6社だった(注)。

一行は、青森、岩手、宮城、福島各県の魚市場を訪問し、水産事業者(卸売業者、加工業者など)と商談を実施した。青森県では、青森市の中央卸売市場でマグロの競りを見学したほか、卸売業者を訪ねた。八戸市では、ジェトロ主催による熊谷雄一市長を交えたレセプションに参加し、地元企業や同市関係者と商流構築に向け交流した。さらに、県内の水産事業者7社と商談を行った。岩手県では、宮古市魚市場で地元企業2社を訪問し、商品の試食と今後の輸出を見据えた商品の改善点などを活発に議論した。宮城県では、女川町で地元事業者2社を訪問し、カキ養殖場の見学や商品の試食を行ったほか、石巻市でも視察した魚市場内で県内事業者13社と商談会を実施した。福島県では、相馬市のノリ加工業者2社を訪問し、ノリ養殖場や加工場を見学した。養殖場では実際に船に乗り、漁場の様子を間近で視察した。最終日には、東京都江東区の豊洲市場を訪れ、マグロの競りを見学した後、日本通運が運営する輸出貨物デポ(小型物流拠点)を視察した。

写真左 青森中央卸市場のマグロ競りの視察、写真右 宮古市魚市場の視察(ともにジェトロ撮影)

(左)青森中央卸市場のマグロ競りの視察、(右)宮古市魚市場の視察(ともにジェトロ撮影)

写真左 相馬市のノリ養殖場の見学、写真右 石巻魚市場の視察(ともにジェトロ撮影)

(左)相馬市のノリ養殖場の見学、(右)石巻魚市場の視察(ともにジェトロ撮影)

参加したバイヤーからは、「今回のツアーでは生産者と直接ディスカッションすることができて良かった。東北には強い思い入れがあり、今後取引をしていきたい企業も複数ある」とのコメントがあった。日本側の参加事業者からは、「カナダとアメリカの水産物需要が分かってよかった」「当社商品に興味を持ってもらい、商品について早速問い合わせがあった」などの声が聞かれた。

今回の商談ツアーの様子はニュース形式の動画にまとめられ、アジアを中心に約30カ国・地域のテレビ放送などで放映される予定。

(注)今回招聘されたバイヤーは、Culimer USA、Uogashi Global Innovation LLC.、Samuels Seafood Company(以上、米国)、Allseas Fisheries INC.(カナダ)、Angliss Singapore、Opus Verticals Pte Ltd(以上、シンガポール)の計6社。

(藤枝穂乃花)

(青森、岩手、宮城、福島、米国、カナダ、シンガポール)

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