深セン市自動運転関連企業、国内最多の1,300社超

(中国)

広州発

2023年12月12日

中国のインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV、注1)産業が深セン市を中心に発展している。

深セン市コネクテッド・ビークル産業協会の12月6日の発表によると、2023年1~9月の同市のこの産業の市場規模は前年同期比44.8%増の547億元(約1兆940億円、1元=約20円)となった。また、自動運転関連企業は全国で1万2,000社ほどあるが、そのうち同市は1,300社以上を有し、国内最多を記録した。

深セン市に自動運転関連企業が集積した背景には、同市が全国でいち早く2022年に「深セン経済特区インテリジェント・コネクテッド・ビークル管理規定」を整備したことなどが挙げられる。同市は2023年8月末までに15社、自動運転車両325台に対し、走行テストと実証実験の認定通知書を発行。自動運転車両用試験モデル道路累計771キロを開放した。

試験区間や車両の増加に伴い、自動運転車両の応用シーンも豊富になりつつある。例えば、深セン市を拠点とする自動運転スタートアップの元戎啓行(DeepRoute)は、同市福田区でレベル4(注2)の自動運転技術を搭載した自動運転タクシーの実証実験を行った。同市坪山区は、坪山区政府と平山高速鉄道駅を結ぶシャトルバスに自動運転のミニバスを起用しているほか、深セン市郵政局が龍崗賽格園区で無人配送車の試験運行を開始した。

なお、広州市交通運輸局も12月4日、公道での自動運転車両による走行テストと実証実験の実施を奨励する方針を打ち出しており、高速道路の自動運転試験区間(南沙港高速道路と叢浦高速道路第1期を含む)を近く開設する予定。

(注1)ICV(Intelligent Connected Vehicle)は、人工知能(AI)や高度の通信技術を導入し、安全性や効率性の高い自動運転を可能とする自動車の総称。

(注2)自動車技術者協会(SAE)が定義する自動運転のレベル(レベル0~レベル5)で、レベル3(条件付き運転自動化)までの車が商用化されている。レベル4(高度運転自動化)では、限定された領域内で加速・操舵(そうだ)・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態での走行が可能。

(高文寧)

(中国)

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