タタのリチウム電池事業にGJ州が用地割り当て、サナンドII工業団地は飽和状態に
(インド)
アーメダバード発
2023年12月19日
グジャラート(GJ)州政府が、インド大手財閥タタ・グループの子会社であるアグラタス・エナジー・ストレージ・ソリューションズのリチウムイオン電池製造事業に対し、アーメダバード近郊のサナンドII工業団地に225万平方メートルの用地を割り当てる予定、と地元各メディアが伝えた(アーメダバード・ミラー、デシ・グジャラート12月15日)。同工業団地は飽和状態となりつつあり、用地が逼迫しているとみられる。
アグラタスは6月に、GJ州政府との間でインド初の1時間当たり20ギガワット(GW)の生産能力を持つ超大型バッテリー工場「ギガファクトリー」設立に関する覚書を締結し、計画の第1段階での1,300億ルピー(約2,210億円、1ルピー=約1.7円)の投資を約束していた。
GJ州政府鉱工業省によると、同プロジェクトへの用地割り当ては12月初めに決定され、間もなく州政府内閣の承認が得られる予定だ。2024年1月に開催されるインド最大級の投資誘致イベントである「バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット」において正式に発表されるとみられる。インドにおけるリチウムイオン電池の大規模な国内生産は、電気自動車(EV)産業に弾みをつけるものと期待されている。
アグラタスに割り当てられるのは、サナンドII工業団地の北コトプラ地区にある更地とされ、リース期間は50年間。年間賃料は初年度が6億9,520万ルピーで、毎年10%値上げされる。GJ州政府による当該用地の評価価格は1平方メートル当たり5,150ルピー、合計115億8,810万ルピーとされ、賃料は評価総額の6%とされている(アーメダバード・ミラー12月15日)。
サナンドII工業団地は、GJ州産業開発公社(GIDC)が管理・運営する工業団地で、日系企業も多数入居している。近年、GJ州政府は、アーメダバード周辺の中核地域に、半導体製造をはじめ航空宇宙産業などの先端産業を優先的に誘致する方針を打ち出している。同工業団地に関しては、ナレンドラ・モディ首相の6月の訪米時に発表された、米国マイクロン・テクノロジーによる半導体関連事業に95ヘクタールの用地を割り当てた。その後、同事業に関連する企業などからの予約が入っているとされ、州政府は残り少ない用地の新規割り当てを留保していると報道されていた(タイムズ・オブ・インディア10月30日)。
ジェトロがGIDCに取材(12月15日)したところ、「まだ公式な通達は出ていないが、サナンドIIの新規用地割り当てを留保する方針が周知されているのは事実だ」との返答があった。州政府は今後、先端産業の集積をさらに進めるため、新たな用地収用を進めるもようだ。
(古川毅彦)
(インド)
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