在シンガポール日系企業、ビクトリア州の持続可能な最先端ビジネスを視察

(オーストラリア)

シドニー発

2023年12月08日

シンガポール日本商工会議所(JCCI)は11月25日から29日まで、持続可能な最先端ビジネスをテーマに、オーストラリア・ビクトリア(VIC)州視察会を実施した。在シンガポール日系企業12社と、同商工会議所事務局、ジェトロのシンガポールとシドニーの両事務所が参加した。在シンガポール日系企業はアジア・オセアニア地域の統括拠点となっているが、オーストラリアでの脱炭素の取り組みに関心が集まり、今回の視察会が行われることとなった。VIC州政府や現地企業(日系を含む)などを訪れ、事業の最新動向や経営課題、現地政府の動向などを聞いて、意見交換などを行った。

VIC州には、日本企業が参画する世界初の褐炭水素プロジェクト(2021年3月15日記事参照)設備がある。褐炭の炭鉱、実証で使われた水素製造施設、ヘイスティング港の液化水素荷役施設を訪問し、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)の検討や、プロジェクトの進捗状況などの説明を受けた。

また、住友林業、NTT都市開発、米国不動産大手ハインズによるメルボルンの15階建て木造建築ビルを訪問した。建物の建築時に排出されるCO2を抑制し、脱炭素に貢献しながら、環境価値の高いオフィスを提供する取り組みについて説明を受けた。地上から5階までが鉄筋コンクリート造りで、6階から上のフロアが木造建築となっており、フロアの違いなどを現地で体験した。

VIC州政府担当者、州の魅力紹介

VIC州は人口約660万人、州内総生産(GSP)5,354億オーストラリア・ドル(約51兆3.984億円、豪ドル、1豪ドル=約96円)で、人口や経済規模がともにニューサウスウェールズ州に次いで同国で2番目に大きい。資源大手のBHPやリオティント、金融大手のナショナルオーストラリア銀行、オーストラリア・ニュージーランド銀行、百貨店のマイヤーなど多くの国内企業が拠点を置いている。近年では国内外のテクノロジー企業も集積、特にデジタルやヘルステック分野に強みを持ち、大学も多く、高度な人材が集まっている。州政府担当者などからこうした州の魅力のほか、クリーンエネルギー政策などの説明を受けた。参加者からは連邦政府の労働党政権への交代による州政府エネルギー政策方針への影響について特に関心が高かった。また、州政府のアレンジで、現地の再生可能エネルギー投資会社オクトパスインベスツオーストラリア、水素スタートアップ企業SunGreenH2などから事業事例の紹介や、在メルボルン日系企業のエスティー・ソリューションズ・オーストラリアから自社の取り組みや現地の魅力、シンガポールとのビジネス環境の違いなどの説明も聞いた。

(青島春枝)

(オーストラリア)

ビジネス短信 5c7d9c808a6e8874