REDD+の下、森林破壊と温暖化防止への取り組みを強化

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年12月25日

コートジボワールのティエモコ・メリエ・コネ副大統領は12月2日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の首脳級ハイレベル・セグメントにおいてスピーチを行い、コートジボワールでの気候変動対策の進捗状況を説明するとともに、発展途上国の温室効果ガス排出削減目標(NDC)のための資金調達の課題と債務拡大の懸念に言及した。

コネ副大統領は冒頭、本会議の開幕早々に気候変動による「損失と損害(ロス&ダメージ)」に対応するための新たな基金(注1)が創設されたことを歓迎するとしつつ、「地球温暖化の流れに歯止めをかけるためには、発展途上国の債務負担の拡大を避けつつ、気候変動対策に必要な資金に容易にアクセスできるようにしなければならない」と訴えた。

コートジボワール政府は、自国のNDCを当初の28.25%より高い30.41%に引き上げ、気候変動問題に積極的に取り組んでいく構えだ。特にエネルギー転換を加速させており、2030年までに太陽光発電、バイオマス発電、水力発電などエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合を42%まで引き上げることを目標に掲げている。進行中のプロジェクトとして、2025年までに完成予定のコートジボワール初のバイオマス発電所〔46メガワット(MW)〕について言及し、稼働すれば今後25年間で450万トンの二酸化炭素(CO2)を削減できると述べた。

また、柱の1つである森林保全とゼロ・カーボン農業のためのプログラムが順調に進展しており、高い炭素吸収能力を有するタイ(Taï)森林国立公園の管理を通じて「森林由来クレジット」の発行準備が整っていると述べた。

COP28のサイドイベントに参加した、コートジボワールのジャック・アサオレ・コナン環境・持続可能な開発・エコロジー移行担当相によると、コートジボワールは2020年10月に、REDD+(注2)メカニズムの一環として、世界銀行の森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)との排出削減プログラム合意書(ERP)を締結した。2020~2024年に最低1,000万トンのCO2削減に対し、結果に基づく支払い(RBP)を受けることが決定している。2020~2021年には700万トンのCO2削減が確認され、FCPFの下での REDD+の結果に基づく支払いは3,500万ドル相当と見積もられている。

(注1)ロス&ダメージとは、気候変動の悪影響に伴う「損失と損害」。2022年のCOP27での決定を踏まえ、COP28では、特に脆弱(ぜいじゃく)な途上国を支援するための新たな資金措置および基金の運用化に関する決定が採択され、新たな基金が世界銀行の下に設置されることなどが決定された。

(注2)途上国における森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などによって温室効果ガス排出量を削減あるいは吸収量を増大させる取り組み。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール)

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