在欧日系企業のサプライチェーン戦略は多様化と短縮化の傾向

(欧州)

調査部欧州課

2023年12月27日

ジェトロが12月26日に公表した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2023年12月26日記事参照)で、欧州に進出する日系企業はサプライチェーンの多様化と短縮化を模索していることが明らかになった。

「今後1~2年のサプライチェーン戦略」について尋ねたところ、「調達の多様化」と回答した企業が全業種で54.9%、製造業では58.9%を占めた。「サプライチェーンの短縮化・ニアショアリング」と回答した企業は、全業種で38.1%、製造業では41.4%となった。

部品・原材料の調達先(国・地域別)についての質問で、各回答企業の回答割合(金額ベース)の単純平均を算出したところ、現地や近隣での調達の傾向が見られた。欧州全体では「所在国」からの調達割合の平均値が22.5%、「所在国除くEU」からは19.6%となり、2つの合計が4割を超えた。中・東欧では、「所在国」が26.5%、「所在国除くEU」が27.8%となり、2つの合計が5割を上回った。

今後の調達方針に関しては、サプライチェーンの重点をEU域内へ移そうとする動きが見られた。その傾向は特に中・東欧の日系企業に顕著で、所在国からの調達を「拡大」させると回答した企業が25.9%、EU域内からの調達を「拡大」させるとの回答が37.3%だった。一方で、中・東欧の日系企業の36.7%が中国からの調達を「縮小」させると回答した。

製品の販売先に関する質問および今後の販売方針に関する質問でも、引き続き所在国およびEUに重点が置かれていることが明らかになった。

現在の主な販売先ではないが、将来有望な販売先として見ている国・地域としては、ポーランドが5年連続で首位となった。中・東欧からは、ハンガリー(4位)、チェコ(5位)、ルーマニア(7位)、スロバキア(9位)も10位入りし、日系企業の同地域に対する関心の高さがうかがわれた。

調査結果の詳細は、ジェトロ調査レポート「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」を参照。

(森友梨)

(欧州)

ビジネス短信 5a58a07285e5f7be