クルーズがGM、ホンダと日本での自動運転タクシー提供開始の基本合意書締結を発表

(米国、日本)

調査部米州課

2023年10月24日

ゼネラルモーターズ(GM)傘下のクルーズは10月18日、GMおよびホンダと2026年初頭から日本で自動運転による移動サービスの提供を開始するため、合弁会社を設立する基本合意書を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。日本国内の国や地方自治体、交通サービス事業者などの関係者と連携・協力し、ドライバー不足を解決し、より安全でアクセスしやすい交通手段の提供を目的としているという。

本サービスは、GM、ホンダ、クルーズで共同開発した「クルーズ・オリジン」(2018年10月4日記事参照)数十台による移動サービスを、東京都心部で開始し、その後は500台規模での運用を見込んでいるという。GMは今回の合弁会社設立に併せ、ミシガン州のファクトリー・ゼロ・デトロイト・ハムトラミック組立工場で約500台のクルーズ・オリジンを製造予定だ。また、この移動サービスでは配車から決済まで全てスマートフォンのアプリで完結するという。

クルーズのカイル・フォークト最高経営責任者(CEO)は「日本は安全で使いやすい交通手段に対する社会的ニーズがあり、自動運転による移動サービスはその解決策を提供できる」「日本は人口密度の高い都市が多く、自動運転による移動サービスで世界最大規模の可能性を秘めており、社会への影響に加えてビジネスチャンスが大きい」と述べた。

GMのメアリー・バーラ会長兼CEOは「安全性からアクセシビリティまで自動運転のメリットは無視できないほど甚大で、クルーズとホンダとのパートナーシップを通じ最先端のソフトウエアとハードウエアにおける専門性を活用してイノベーションを推進し、世界中のより多くの人々が必要な場所に移動できるよう支援していく」と述べた。

ホンダの三部敏宏代表執行役社長は、今回のクルーズとGMと協力した自動運転による移動サービスを通じて、「人々の移動の質を高め、移動の喜びを環境負荷ゼロで、より安全に提供する」「交通環境が複雑な東京都心部でのサービス提供は大変な挑戦だが、当社はクルーズ、GMと協力して実現に向けてさらに努力する」と述べている。

日本では2023年4月に改正道路交通法が施行され、運転者を必要としない「レベル4」の自動運転の走行が認められた。だが、クルーズ・オリジンは運転席がない最大6人が乗車可能な対面式座席配列で特別装備車に該当することから、型式認可取得について、今後、関連省庁と協議していくという(ロイター2023年10月19日)。承認が取得でき次第、2024年に初期テストを、2026年初めに東京都心部で商業サービスを開始し、その後、東京都心部以外の地域にもサービスを拡大する予定だ。

また、日本の経済産業省は2023年10月19日に、2025年度までの新たな自動運転移動サービス実現に向けた「レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ」を2023年11月ごろから開始予定と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(見並一明)

(米国、日本)

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