英閣僚、COP28での合意を歓迎、メディアは資金面での不足を指摘

(英国、アラブ首長国連邦)

ロンドン発

2023年12月19日

アラブ首長国連邦(UAE)で行われた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の英国の代表団のトップを務めた、グラハム・スチュアート・エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)国務相は12月13日、自身のX(旧ツイッター)を更新した。COP28においてグローバル・ストックテイク(GST)に関する承認がなされた(2023年12月14日記事参照)ことを歓迎した。議長を務めたUAEのスルターン・ビン・アフマド・スルターン・アール・ジャーベル産業・先端技術相兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)最高経営責任者に対しても、1.5度目標(注)を維持し化石燃料の使用について明記した歴史的な合意を主導したことについて謝意を示した。

クレア・クティーノDESNZ相も自身のXで、化石燃料からの脱却に関する初の国際合意だとして「真に歴史的」と評価した。

英国のメディアも今回の合意について、一定の評価を示している一方、資金面については不十分との見方が共通してみられた。BBC(12月14日)は今回の合意に関して、化石燃料からの脱却に言及した初の合意だとした一方、開発途上国へのファイナンスについては具体的な金額に関する言及がなかったとしている。

タイムズ(12月13日)は、化石燃料からの脱却に関する文言は非常に重要とした。一方で、成果に関しては政治的には野心的なものだったとしつつ、科学が求める水準には届いていないとした。また、ファイナンスも不十分とした。

ガーディアン(12月13日)も、再生可能エネルギーの発電容量の拡大やエネルギー効率の向上は気候資金が必要なものの、ファイナンスに関する言及がなかったとしている。ロイター(12月13日)では、合意について、政策や投資トレンドの変化につながれば、長期的なエネルギー経済の変革を起こしうるとした一方、化石燃料からの脱却に向けて、開発途上国を支援するための追加資金が盛り込まれていないことを指摘している。

(注)産業革命前からの世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える目標。

(山田恭之)

(英国、アラブ首長国連邦)

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