米商務省、レガシー半導体と防衛産業基盤に関する調査を2024年1月に開始

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年12月25日

米国商務省は12月21日、米国の半導体サプライチェーンと防衛産業基盤に関する調査を2024年1月に始めると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。調査は輸出管理などを所管する産業安全保障局(BIS)が行い、米国の重要産業における中国産のレガシー(非先端)半導体の利用や調達に焦点を当てる。

調査は2021会計年度国防授権法(NDAA)に基づいてBISが作成した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに対応するものとなる。同報告書は、企業などへの調査を基に米国のマイクロエレクトロニクス産業の能力や課題を評価し、国内の半導体製造エコシステム強化のための提言をまとめている。報告書では、中国政府が過去10年間に国内の半導体産業に推定1,500億ドルの補助金を投じたと指摘。これが市場価格を下回る価格のレガシー半導体の供給を招き、米国を含む外国企業にとって不公平な競争条件を生む可能性が高いと警鐘を鳴らした。また、米国政府は防衛産業基盤の中国依存の度合いを把握できていないとして、さらなる分析を行う意向を示した。

ジーナ・レモンド商務長官はプレスリリースで、電気通信や自動車、防衛産業基盤といった重要産業を支えている「米国のレガシー(半導体)チップのサプライチェーンを脅かす外国政府による非市場的行為に対処することは、国家安全保障の問題」と強調した。「ここ数年、中国企業がレガシーチップの生産を拡大し、米国企業が競争するのを困難にする中国の懸念すべき慣行の潜在的な兆候がみられる」とも述べ、こうした懸念に対処するために調査で得た情報を活用する考えを示した。

BISの報告書は、中国の非市場的慣行から国内の半導体投資を保護する策として、調査対象企業からは中国製品への関税賦課や輸出管理の拡大といった措置が挙げられたとしている。今回の調査の結果、米国政府が実際にそうした措置を決定する可能性もある。米国連邦議会下院の中国特別委員会も、12月に発表した報告書(2023年12月15日記事参照)で、中国の市場独占を防ぐために、中国から輸入されたレガシー半導体に関税を賦課するよう提言しており、議会の支持は取りつけやすいとみられる。商務省高官は、今回の調査では自動車や航空宇宙、防衛産業などの100社以上が対象になる見込みとし、調査結果はCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づいて提供される助成金の決定にも役立てられると説明した(ブルームバーグ12月21日)。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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