広東省、粤港澳大湾区のデジタル化に向け3年行動プランを発表
(中国)
広州発
2023年12月06日
中国の広東省政府は11月21日、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区、以下、大湾区)デジタル化に向け、「『デジタル・ベイエリア(湾区)』建設に向けた3カ年(2023-2025年)行動プラン」(以下、行動プラン)を発表した。同行動プランは、「ベイエリア(湾区)通」プロジェクト(注1)の実施、大湾区のデジタル化建設を加速するために制定された。
行動プランの実施プロセスは、次のとおり。
(1)2023年には広東・香港・マカオ3地域によるにデジタル化作業メカニズムを構築し、スマートシティの共同建設や行政サービスの一体化、デジタル化された投資誘致や人材育成、デジタル化の均衡発展などの重点分野に注力する。
(2)2024年には広東・香港・マカオ3地域間でのデジタル化協力により、データ流通、デジタル産業の集積発展などの分野を推進し、多様な共同建設モデルを形成する。
(3)2025年には「デジタル・ベイエリア」の建設を基本的に完成させ、大湾区のデジタル化規制・規則の効果的な連携、新型インフラ建設の効率的な連動、データの計算とストレージ能力のバランスのとれた発展を実現する。デジタルエネルギー(注2)を経済・社会の質の高い発展を促進する原動力とする。
主な内容は次のとおり。
- 「データ通」:データの安全な流通を促進し、広東・香港・マカオ3地域間のネットワーク、計算力などを統合して大湾区データの総合業務網を建設する。
- 「インフラ通」:5G(第5世代移動通信システム)設備の整備、通信・量子科学技術分野のイノベーションプラットフォームの建設などのインフラ施設を整備し、広東・香港・マカオ3地域間の計算力の調整・融合を促進する。
- 「ビジネス通」:企業経営に関わるビジネス情報収集、融資、税務などのサービスを提供する。大湾区投資・企業誘致プラットフォーム、苦情・相談窓口、モノ・ヒトの通関システムなどのデジタル化により、企業の大湾区での運営の利便性向上を促進する。
- 「産業通」:クラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などのデジタル産業の集積・発展を促進すると同時に、製造業・貿易業・金融業などの産業のデジタル化を促進する。
- 「ガバナンス通」:スマートコミュニティの建設を推進し、政府ガバナンスにおけるデジタル水準の向上を図る。医療、消費、老後、レジャー娯楽などの分野で生活シーンのデジタル化を推進する。
- 「生活通」:広東・香港・マカオ3地域間で行政サービスの一体化を促進することにより、通関・通信・年金・医療などの分野で越境サービスを提供する。
- 「デジタル化による地域間の融合」:「投資広東」プラットフォームと大湾区企業誘致プラットフォームを活用し、広東省の東部・西部・北部それぞれの地域の比較優位を発揮させ、地域間の均衡発展を促進する。デジタル化建設により、大湾区と長江デルタ、京津冀(北京市・天津市・河北省)、川渝(成都市・重慶市)の経済圏との地域間提携を強化する。
(注1)広東・香港・マカオ3地域間現代化インフラ施設の連携、港・空港の建設、大湾区デジタル化の構築により、人員・資金・データの効率的な流通を促進する。
(注2)デジタルテクノロジーを利用してエネルギーを自動化、制御、最適化を行い、エネルギーの効率化を図る。
(梁梓園)
(中国)
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