利益分配制度を従業員11~49人の企業に適用拡大

(フランス)

パリ発

2023年12月06日

フランスで、企業内での従業員に対する利益分配を定めた法律が11月30日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公布された。2023年2月に締結された労使間の協定を法令化したもので、従業員50人以上の企業に義務付けている利益分配制度を、2025年1月から従業員11~49人の企業に適用を拡大する。

具体的には、3年連続で売上高の1%以上の純利益を出している従業員11~49人の企業を対象に、利益分配(アンテレッスマン、注1)、利益参加(パルティシパシオン、注2)、企業貯蓄制度、利益分配賞与(PPV、いわゆる「マクロン賞与」)(2022年7月12日記事参照)の代替)から少なくとも1つの措置の導入を義務付ける。これらの措置は、試験的に5年間実施するものとする。現行では、アンテレッスマンは任意、パルティシパシオンは従業員50人以上の企業に義務付けられている。

従業員50人以上で組合代表がいる企業には、利益分配を目的とした「特別利益」を定義するための労使交渉の実施を課す。同法の公布時点ですでにアンテレッスマンまたはパルティシパシオンの合意のある企業は、2024年6月30日までに、そのための労使協議を開始しなければならない。

購買力強化のために導入した「マクロン賞与」は、「利益分配賞与(PPV)」と名称を変更し継続する。従業員50人未満の企業に対する、法定最低賃金3倍未満の従業員への利益分配賞与(PPV)の社会保険料および所得税の免除は、3,000ユーロ(利益分配制度を導入している企業は6,000ユーロ)を上限に、2026年12月31日まで継続する。

国民議会の2023年4月の報告によれば、2020年には、民間企業の従業員の53%が利益分配として賞与を受給していたが、企業の規模により実施状況は大きく異なる。従業員1,000人超の企業では89%の企業が実施していたのに対し、従業員10~49人の企業では20%にすぎない。同法の施行により、新たに150万人の従業員に対する利益分配の受給を見込む。

(注1)企業の目標や業績が達成された時に支払う賞与。売上高や利益など財務結果による場合もあるが、二酸化炭素排出量やコンプライアンス関連など財務外の目標や在庫削減など業務目標による場合もある。

(注2)利益を従業員に割り当てる措置。割り当ての計算式は法律で定められている。雇用主と従業員代表との協定で、従業員により有利な内容とすることも可能。

(奥山直子)

(フランス)

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