欧州化学業界、2024年は微増ながらも生産量は回復と予測

(EU)

ブリュッセル発

2023年12月26日

欧州化学工業連盟(Cefic)は12月15日、EUの2024年の化学品生産量は前年比1.0%増との予測を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。微増ではあるが、2022年、2023年と2年連続で前年を下回っていたことから、Ceficは「回復の兆候」とした。

EUの化学品生産量は、特に石油化学製品、一次製品のポリマーや無機基礎化学品の生産が落ち込み、2022年は前年比6.3%減、2023年は同7.6%減と減少傾向にあった。背景には、エネルギー価格の高騰や新型コロナウイルス危機後の需要の大幅な減少、インフレや購買力の低下に加え、欧州の複雑な規制への対応コスト負担がある。同連盟のマルコ・メンシンク事務局長は、特に世界的に見ても依然として高い欧州のエネルギー価格は、同じく上昇している原材料コストとともに、欧州企業の国際競争力低下の要因となっていると述べた。また、米国や湾岸諸国などでは企業の設備投資の回復が期待される中、欧州では企業が容易に投資に踏み切れない状況にあるとし、米国のインフレ削減法(IRA)の影響を受け、欧州での投資がさらに減退する可能性も指摘した。

2024年について、Ceficは、個人消費でサービスから消費財へと徐々に需要構造が正常化すると予測。インフレ率の低下と賃金上昇に伴い、購買力向上が予想されるとし、個人の消費支出増を見込む。

前向きな予測を示しつつも、金利上昇による建設需要の低下や、自動車生産の伸び悩みが見込まれ、EU化学業界にとって依然として不確実性はあるとして、2024年は限定的な回復となるとの見通しを示した。

(滝澤祥子)

(EU)

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