メローニ首相、COP28でバイオ燃料推進、アフリカとの関係強化など表明

(イタリア、日本、アフリカ)

ミラノ発

2023年12月08日

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は12月2日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の首脳級会合で演説した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。イタリアは発電源を化石燃料から再生可能エネルギーへ徐々に移行しており、特にバイオ燃料に注目し投資を行っていることなどを説明した。

また、気候変動のための基金から、総額40億ユーロをアフリカ大陸へ割り当てると表明。メローニ政権が推進する対アフリカの外交政策「マッテイ・プラン」の柱であり、イタリアがアフリカおよび地中海諸国全体のエネルギー安全保障を支援するために取り組んでいると紹介した。「マッテイ・プラン」は単なる支援ではなく、協力に重点を置き、対等な立場での相互利益を尊重している(2023年2月3日記事参照)。さらに、「緑の気候基金(GCF)」(注1)への支援の継続、および「損失と損害」基金(注2)に対して1億ユーロを拠出する予定であることを明らかにした。

記者団から、フランスや米国など22カ国が原発によるエネルギー生産量を3倍に増やすと宣言したことを受け、イタリアの原発に関する方向性も問われた。イタリアは1987年に実施された国民投票の結果を受け、1990年に国内で最後の原子炉の稼働を停止させている。メローニ首相は「この問題は実用的な観点から評価する必要があり、イデオロギーで語ってはいけない」とした上で、「エネルギーの多様化に向けたすべての技術に対して閉鎖的な考えはない」とコメントした。

メローニ首相はさらに、「イタリアが今日、原発再稼働を一から始めるとして、技術的なおくれをとらずに、良い結果が出るという確信があればいつでも議論を始める」との意向を示した。また、エネルギーに関する課題を将来解決するものとして核融合発電への期待を示し、核融合発電に関してイタリアは他国よりも進んだ技術を保有しているとした。

メローニ首相は、日本のほかトルコやイスラエルなど6カ国と2国間会談を行った。12月2日に行われた岸田文雄首相との会談では、2023年1月に岸田首相がイタリアを訪問した際に合意した「戦略的パートナーシップ」を軸に、政治、経済・産業、科学、文化などのあらゆる分野で両国が協力を深めたとともに、2022年12月に発表した「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」(2022年12月26日記事参照)と安全保障・防衛分野における連携の戦略的価値をあらためて確認した。

(注1)開発途上国が温室効果ガス(GHG)排出抑制・削減・吸収(緩和)と気候変動による影響への対処(適応)を実施するための努力を支援する国際基金。

(注2)2022年11月開催のCOP27で設立が合意された、気候変動により「損失と損害」を受けた国々への支援を目的とする基金。

(平川容子)

(イタリア、日本、アフリカ)

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