香港で区議会選を実施、投票率は27.5%

(香港)

香港発

2023年12月18日

香港の区議会議員選挙(日本では地方議会に相当、定数470、注1)の投票が12月10日に行われた。香港域内にある18区議会の議員選挙は7回目となる。2023年7月の選挙制度の変更により、香港市民が直接投票できる直接選挙枠の議席が88まで減少した。また、立候補には「愛国者による香港統治」の原則に基づく資格審査が必要となったことから、民主派は候補者を擁立できなかった。

直接選挙の得票率は27.5%で、1997年の香港返還以降に実施された7回の区議会議員選挙の中で最低となった。香港特別行政区政府は、投票前日の9日と投票当日は域内各地域でカーニバル、ポップアップイベント、科学博物館や宇宙博物館などの入場料無料化など、市民が楽しめる「区議会選挙ファンデー」を開催し、有権者に選挙に積極的に参加するよう促して投票率向上に努めたが、前回2019年選挙時の投票率(71.2%)から43.7ポイントも低下した。また、投票当日に有権者名簿を管理する電子システムの故障が生じたことから、投票時間を延長して翌11日午前0時まで投票可能といった対応が取られたものの、得票率は伸び悩んだ。

李家超(ジョン・リー)行政長官は今回の選挙について「公正、公平、クリーン、安全、秩序ある方法で実施された質の高い選挙」と評価した。

非政府機関の団結香港基金(注2)のアドバイザーで、香港立法議会議員でもある田北辰氏は低投票率の理由について「投票が本当に地域社会を支援する区議会を生み出すことにつながるのか疑念を抱いているため」と述べた。また、全国香港マカオ研究会の劉兆佳顧問は投票率については「中国中央政府に受け入れられる数値だろう」との見解を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」12月11日)。

(注1)定数470のうち、香港市民が直接投票できる「直接選挙枠」は88のみ。2023年7月の選挙制度変更前は452議席だった。

(注2)2014年11月に設立された非政府非営利団体。公共政策研究所、中国文化研究所、香港年代記研究所の3つの会員組織を持ち、「一国二制度」の原則の下、香港の繁栄と安定、持続可能な発展に貢献することを目的とする組織。

(松浦広子) 

(香港)

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