米サンフランシスコ市、11月経済指標データ公表、雇用者数増加もオフィス稼働率は伸び悩み
(米国)
サンフランシスコ発
2023年12月13日
米国サンフランシスコ市は12月4日、市内の経済活動に関するレポートを公表した。
同市が隔月で発表しているこのレポートによると、市内雇用者数は8月時点から10月時点までに3,300人増加した。業種別では、教育・医療や政府関係で伸長したが、情報産業や専門サービス分野は減らした。雇用者数の増加にもかかわらず、10月時点の失業率は3.4%と、8月時点からは横ばいだった。
米国不動産管理システム会社キャッスルが算出しているオフィス稼働率は9月から11月中旬まで横ばいで推移している。オフィスの稼働率の低さは新型コロナウイルス禍の収束後から継続している(2023年9月11日付地域・分析レポート参照)。出社する割合も新型コロナ禍前の水準まではなお回復していない。さらに、市中心部に向かう公共交通機関のベイエリア高速鉄道(BART)や、サンフランシスコ市営交通局(MUNI)が運営する地下鉄の利用者数が若干低下したことなどからも、市内への人流が回復していないことがうかがえる。
サンフランシスコ国際空港の旅客数は、国内線・国際線ともに2019年同月時点と比較して95%以上と、新型コロナ禍前の水準にほぼ回復した。しかし、市内のホテル収入は10月時点で2019年同月の70%程度と低迷が続いている。
住宅価格については、賃貸住宅情報のオンラインプラットフォームを展開するアパートメント・リストがレポートを発表している。11月のサンフランシスコ市の1ベッドルーム家賃中央値は2,188ドルと、新型コロナ禍前の2019年11月(2,620ドル)と比べて約16.5%下落し、前年同月比でも約6.7%下落している。また、サンフランシスコ・ベイエリア南部に位置するサンノゼ市の1ベッドルームの家賃中央値は2,004ドルと、同2.2%下落している。カリフォルニア州全体では同1.8%の下落にとどまっていることを踏まえると、州内の他の地域に比べても、サンフランシスコ・ベイエリアでの賃料の低下が目立っている。
(芦崎暢)
(米国)
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