デジタル入国カード記入を2024年1月から義務化、雇用パス保持者は不要

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年12月07日

マレーシア政府は、2024年1月1日から入国に際し、「マレーシア・デジタル・アライバル・カード」(MDAC)の登録を義務付ける。12月5日にサイフディン・ナスティオン内務相が明らかにした。マレーシアは過去にハードコピーの入国カード提出を義務付けていたが、これを2012年6月に廃止していた。形態はデジタル化しつつも、同様の入国書類を10年以上ぶりに再導入する。

政府は12月から一部ビザ要件を緩和する一方(2023年12月1日記事参照)、入国管理を徹底すべく、MDACを導入した。サイフディン大臣の説明や入国管理局のSNS投稿によると、MDACの記入義務が免除されるのは、(1)シンガポール国民、(2)外交・公用旅券保持者、(3)永住権、長期滞在パス保持者、(4)ブルネイ身分証保持者、(5)マレーシア・ブルネイ間定期通行証保持者、(6)タイ国境通行証保持者、(7)インドネシア国境通行証保持者。そのうち(3)の「長期滞在パス」には、雇用パス(EP)やその帯同者向けパスも含まれるため、例えば、駐在員の国外出張にかかるマレーシア帰国時にはMDAC記入は不要だ。他方、特にビザを持っておらず短期旅行でマレーシアに入国する日本人観光客は提出する必要が出てくる。

MDACの記入はマレーシア到着の3日前から可能で、入国管理局の専用ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに、氏名、生年月日、パスポート番号と有効期限、メールアドレス、電話番号、入国・出国予定日などを入力する。マレーシア政府観光局の「登録方法&よくある質問PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(12月6日アクセス)は、日本語で記入法を詳説している。

政府は当初、この制度を12月1日から完全導入し、同月7日までを猶予期間とすると発表していた。この時点では、永住者や「マレーシア自動クリアランスシステム(MACS)」(注)登録者などを除き、原則として全ての外国人に記入を義務付ける方針だった。急な発表を受け、雇用パスなど長期滞在パス保持者が除外対象となるかどうか不明なまま、混乱が生じていた。12月5日の発表をもって、MDAC記入の完全導入日は2024年1月1日に再設定され、2023年内は移行措置期間として記入なしでの入国が認められる。

(注)長期滞在資格者が申請・登録し、年間30リンギ(約930円、1リンギ=約31円)を支払うことで、ステッカーが発行され、MACS自動化ゲートを利用できるシステム。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

ビジネス短信 1f2bde2a7d9c6034