米11月の雇用者数は19.9万人増、失業率は3.7%に低下、時給の伸び率は再び上昇

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月11日

米国労働省が128日に発表した11月の非農業部門雇用者数PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は前月から199,000人増と、市場予想の18万人増を大きく上回った。また、9月の数値が297,000人増から262,000人増に下方改定された。

就業者数は前月から747,000人増加し、失業者数は215,000人減少した。失業者のうち、一時解雇の失業者は前月から19,000人増の892,000人、恒常的失業者は前月から24,000人増の1629,000人だった。労働参加率は、生産年齢人口が前月から18万人増の26,782万人、労働力人口が前月から532,000人増の16,826万人となった結果、62.8%に上昇した。

以上の要因を踏まえた失業率は、前月から0.2ポイント低下し、3.7%となった〔添付資料「図1 失業率の推移、表1 米国の雇用統計(11月速報)参照〕。市場予想は前月と同じ3.9%で、市場予想を下回った。失業率について年齢別で見ると、2554歳の失業率は前月と変わらず3.2%、55歳以上は前月から0.2ポイント上昇の2.9%だったのに対し、1624歳の若年層は前月から0.8ポイント低下と大幅に低下し、8.1%となった。また、フルタイム・パートタイムの別で見ると、フルタイムの失業率は前月と変わらずに3.7%、パートタイムは前月から0.6ポイント低下と大幅に低下して4.0%だった。パートタイム労働力の供給源となっている若年層の失業率の低下が大きく牽引したもようだ。

11月の非農業部門雇用者数の前月差199,000人増の内訳を見ると、民間部門は15万人増、うち財部門が29,000人増、主な業種では、建設業が2,000人増のほか、全米自動車労働組合(UAW)のストライキの影響から回復した自動車・自動車部品が3万人増加したことに牽引されたかたちで、製造業が28,000人増だった。ただし、自動車以外の製造業では、ほぼ全業種で増加幅が小幅にとどまるかマイナスとなっており、米国連邦準備制度理事会(FRB)が直近の地区連銀経済報告(ベージュブック)で報告した動き(2023年12月1日記事参照)と整合するものとなっている。

サービス部門は121,000人増で、主な業種では、教育・医療サービス業が99,000人増、外食サービスを中心とした娯楽・接客業が4万人増と、この2部門が増加を牽引したかたちだ。一方、商業・運輸・倉庫業は、小売業の減少(38,000人減)の影響により、35,000人減、対事業所サービスは9,000人減となった。また、政府部門は49,000人増だった〔添付資料「図2 非農業部門新規雇用者数の推移」、「表2 主要業種別雇用増加数(前月差)の内訳(11月速報)」 参照〕。

平均時給は34.10ドルで、前月比0.4%増、前年同月比4.0%増だった(10月は33.98ドル、前月比0.2%増、前年同月比4.0%増)。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比4.0%増で、前月比では市場予想を上回った。前年同月比で伸びが高かった業種は、金融業(5.5%)、製造業(5.3%)、建設業(4.9%)など、伸びが低かった業種は教育・医療サービス(2.5%)、情報通信業(2.3%)と、前月とほぼ同様の構成だった。

(加藤翔一)

(米国)

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