英競争当局、ユニリーバの環境訴求を調査、消費者の誤解など懸念

(英国)

ロンドン発

2023年12月22日

英国の競争・市場庁(CMA)は12月12日、英国の食品・家庭用品大手ユニリーバによる同社製品への環境訴求について正式な調査を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。CMAは2023年1月に、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)対策の一環として、食品や飲料、日用品など回転率が高い消費財(fast-moving consumer goods, FMCG)に関する環境配慮の主張について、消費者保護の観点から調査を行うとしていた。CMAは初期調査を実施した結果、複数の懸念点があるとして、同社のクリーニング製品やパーソナルケア製品など、特定の家庭用必需品に関する主張について公式に調査を行うとしている。

CMAが挙げた懸念点は次のとおり。

  • 特定の表現が曖昧かつ広範に捉えられ、製品の環境への影響に関して、買い物客を誤解させる可能性がある
  • 自然(ナチュラル)をうたった原料に関する主張が不正確または誤解を招く印象を与える可能性がある
  • 製品の一側面に焦点を当てた主張が製品全体として環境に優しいことを示唆する可能性がある
  • グリーンに関する主張(特にリサイクル可能性に関する主張)は、それが製品の全て、あるいは一部、もしくは包装に関連するものなのかが特定されておらず、不明瞭である可能性がある
  • ユニリーバの色やイメージ(緑の葉など)の使用は、一部の製品が実際よりも環境に優しいという全体的な印象を与える可能性がある

CMAは2022年1月に小売りファッション業界に対しても同様に、環境に関する訴求について調査を実施することを発表、2022年7月に英オンライン衣料販売のASOSやBoohoo、英小売り大手のアズダに対して、調査を開始することを発表している。FMCGについても、人々が毎日使用し定期的に購入が行われることから、影響が大きいとしている。CMAは企業向けに環境配慮に関する訴求方法についてガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

グリーンウォッシングに関しては、英国金融行為規制機構(FCA)も金融商品やサービスについて、持続可能性の開示要件や投資ラベルなどの措置を公表している(2023年12月6日記事参照)。

(松丸晴香)

(英国)

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