「未来自動車特別法」、国会で議決、自動車部品産業の次世代シフト支援へ

(韓国)

ソウル発

2023年12月12日

韓国で「未来自動車部品産業の転換促進およびエコシステム育成に関する特別法案」(未来自動車特別法)が12月8日、国会本会議で議決された。同法は、急変する自動車部品産業の迅速かつ柔軟なシフト、部品エコシステムの活性化を支援することを目的に、次の5つの要素で構成されている。

(1)総則:自動車部品産業の転換支援と競争力強化のための持続可能なエコシステムの構築、サプライチェーン安定化の推進(第1条~第4条)

  • 未来自動車部品産業に政策対象の重点を置くとともに、未来自動車産業育成の観点から完成車メーカーに支援。
  • 未来自動車および未来自動車の技術(注)を定めるとともに、自動車部品の範囲をハードウエアだけでなくソフトウエアにも拡大。

(2)推進体制:未来自動車部品産業エコシステムの活性化のための基本方針などを盛り込む5年単位の「基本計画」の策定(第5条)、重要事項を審議・調整するための産業通商資源部長官所属の戦略会議の新設(第6条)

(3)技術開発:未来自動車部品に対する技術開発と事業化の促進、標準化および認証、部品専門企業の指定・支援の根拠の作成(第9条~第13条)、中小・中堅企業の研究開発投資に対する負担緩和特例の作成(第15条)

(4)基盤構築:未来自動車部品産業のデジタル革新の促進、協力モデルの模索、専門技術人材の育成を支援する根拠の作成(第16条~第19条)、未来自動車部品産業特化団地の指定と、部品メーカーの実証を促進するための公的施設の開放と実証支援に関する根拠の作成(第20条~第22条)、未来自動車部品のデータプラットフォームの構築と国際協力への誘導(第23条~第24条)

(5)転換促進:外国人・地方・国内回帰企業に対する投資補助金特例を定めることによる未来自動車産業の国内投資促進(第26条~第27条)、中小・中堅企業の次世代自動車部品産業へのシフトのための事業再編、事業転換制度の支援要件の緩和(第28条)、国内外の環境変化に応じて規制や制度を見直す手続きの導入(第29条~第30条)

未来自動車特別法が国会で議決されたことを受け、「聯合ニュース」(12月8日)では、韓国自動車モビリティー産業協会(KAMA)のコメントを次のように紹介している。

  • 韓国の自動車産業が未来自動車産業に転換するための体系的な支援システム構築の基礎が設けられた。
  • 韓国自動車部品業界の先端戦略産業への事業転換と発展は、未来自動車へのパラダイムシフトに向けて努力する完成車業界にも大きな力になるだろう。

未来自動車特別法は今後、国務会議での議決を経て公布され、公布から6カ月後に本格的に施行される。

(注)エコ技術、自動運転技術、ソフトウエア融合技術、人工知能(AI)技術、カーボンニュートラルの実現、エネルギー効率・安全性・利便性の向上などに関する技術

(橋爪直輝)

(韓国)

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