2022年の通勤災害は増加、自転車通勤の事故に注意

(ドイツ)

調査部欧州課

2023年12月20日

ドイツ連邦労働・社会省と連邦労働安全衛生研究所(BAuA)は12月13日、年次報告書「労働における安全と健康外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)。

同報告書によると、2022年に報告義務のある労働現場での災害は届け出ベースで101万9,724件だった。

内訳をみると、業務災害(注2)は84万4,284件(前年比2.5%減)。労働者1,000人当たりの発生件数では19.0件だった。業種別にみると、最も多かったのは建設部門で労働者1,000人当たり45.5件、最も少なかったのは公務部門で7.5件だった。業務災害のうち、死亡件数は533件(15.1%減)だった。また、通勤災害は17万5,440件(1.4%増)。通勤災害のうち、死亡件数は255件(9.0%増)だった。在宅勤務日が減り出社日が増えたため、通勤災害が増加したという。

なお、業務上疾病の認定件数は20万1,723件(前年比59.8%増)。業務上疾病の認定件数のうち最多は感染症で、18万1,496件(77.4%増)だった。新型コロナウイルスに業務上感染したと認定された件数が増加したことが主な理由だ。

自転車通勤による事故が増加

ドイツのオンライン統計Statistaによると(2023年6月23日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツでは通勤手段に自転車を利用している人の割合は25%で、中でもベルリン市では32%、ザクセン州では30%にものぼるという(調査実施期間:2022年4月~2023年3月)。

ドイツ法定労災保険組合(DGUV)によると外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、DGUV傘下の民間企業部門の労災保険を取り扱う組合と公務部門の災害金庫などに届け出のあった2022年の通勤災害は17万3,288件(前出の報告書とは集計ベースが異なる)。これを通勤手段別にみると、最も通勤災害の発生が多かった通勤手段は徒歩の5万7,538件(全通勤災害のうち33.2%)、次いで乗用車が4万1,186件(23.8%)、自転車が3万7,120件(21.4%)だった。乗用車通勤による通勤災害の件数は減少に向かっているのに対して、自転車通勤による通勤災害の件数は増加している。自転車通勤による通勤災害は、2013年には2万2,530件(12.1%)にとどまっていた。なお自転車とは別に、電動キックボード通勤による通勤災害件数が急増しており、2022年は3,776件(2.2%)で、前年の1,784件から1,992件増と2倍以上に増えた。自転車や電動キックボードでの通勤に際しては、一層の安全確保に気を付けたい。

(注1)政府が労災保険の保険者である日本と異なり、ドイツでは産業・業種別に組織された労災保険を取り扱う組合や災害金庫が保険者になっている。同報告書では、民間企業部門と農林業・造園部門の労災保険を取り扱う組合のほか、公務部門の災害金庫など全産業の保険者組織からの情報を取りまとめた。

(注2)業務上の負傷により3日を超えて休業した、または死亡した場合。

(二片すず)

(ドイツ)

ビジネス短信 012b2d9af793f92d