エネルギーと鉱物資源分野で、さらなる展開の可能性を議論

(カザフスタン、日本)

調査部欧州課

2023年11月21日

東京で11月1日に開催された第8回日本カザフスタン経済官民合同協議会の第4分科会として、「エネルギー・鉱物資源開発・利用分野における協力」が開催された。これまで協力実績のある油田開発分野に加え、レアメタル、レアアースといった金属鉱物資源の採掘・加工や、グリーントランスフォーメーション(GX)分野での協力の提案が挙がった。

エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の椛島(かばしま)太郎・資源探査部探査第2課課長は、JOGMECは国の蓄電池政策に基づきレアアースの採掘・製錬を支援しており、カザフスタンのプロジェクトも対象となるので、日本企業を通じて活用するよう呼びかけた。

カザフスタン・エネルギー省のアスハト・ハセノフ次官は、アティラウ州に建設した年間生産能力50万トンのポリプロピレン工場などの例を挙げ、石油ガス化学は国の優遇策や経済特区がある有望分野で、今後は国産原料を用いてさまざまな製品を製造していく計画だと説明した。

カザフスタンのカシャガン油田の権益を有するINPEX欧州中東事業本部業務企画ユニットの中嶋宏之ジェネラルマネージャーは、GXの移行期においても石油ガスは重要な役割を担っており、同社は温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるネットゼロへの取り組みとともに石油ガスのクリーン化に努めることで、カザフスタンの脱炭素化に貢献していると述べた。

カザフスタン産業・建設省のアザマト・パンバエフ産業発展委員会議長は、ベースメタルの加工と、レアメタルの地質調査・加工におけるカザフスタンのポテンシャルを説明し、日本企業にリチウム電池、合金粉末などのレアメタルを使った新製品の生産への参画を求めた。

横河電機カザフスタンの村田努社長は、カズムナイガスのアティラウ製油所などで採用されている、プラントの安全・安定操業に関わる同社の制御システムのソリューションについて説明した。また、GXに向けた人材の活用・育成の重要性に言及し、協力して新しい価値を創造しようと提案した。

カザフスタン国家企業家会議所「アタメケン」理事会のジャンドス・アビシェフ会長顧問は、ニッケルは加工による収益率が高いとし、日本とニッケルクラスターを作ることを提案した。また、外国のIT・AI(人工知能)技術を使って鉱石の濃縮と技術的鉱物形成を進めていきたいとし、アタメケンはその調整ができると述べた。

(小林圭子)

(カザフスタン、日本)

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