広汽三菱汽車が組織再編、生産機能を広汽AIONの生産に活用

(中国、日本)

広州発

2023年11月01日

中国自動車大手の広州汽車集団(広汽グループ)は10月24日、「広汽三菱汽車の再編に関する取引公告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。公告によると、広汽グループは三菱自動車工業(三菱自動車)と、三菱商事が保有する広汽三菱汽車の全持ち分を1元(約20円、1元=約20円)の譲渡額でそれぞれ譲り受ける。

広汽三菱汽車の株主の広汽グループ、三菱自動車、三菱商事は共同で広汽三菱汽車とその販売会社に債務を返済するため増資する予定だ。そのうち広汽グループの投資金額は15億7,700万元を超えず、また、三菱自動車と三菱商事の合計投資金額は上記金額を下回らないとしている。

3社は協議を経て、生産能力の迅速な拡充のため、広汽三菱汽車が利用可能な設備〔査定価格約4億4,200万元(税込み)〕などを広州汽車傘下の新エネルギー車(NEV)メーカーの広汽埃安新能源汽車(AION)に売却するほか、査定価格約17億8,000万元の土地や工場建物を年間約1億3,000万元の賃貸料でAIONに賃貸予定だ。再編が完了すると、広汽三菱汽車は広汽グループの完全子会社となるほか、AIONが広汽三菱汽車工場を利用して増産・拡張を実現する。2024年6月に生産を開始する予定で、年間60万台の自動車を生産する見込み。

公告によると、今回の広汽三菱汽車再編は、広汽三菱汽車の中核資産を最大限に活用し、AIONの生産能力のボトルネックを解消し、工場建設の時間と投資コストを節約し、NEV発展の市場チャンスと捉え、自主ブランドの持続的かつ安定的な発展を促進し、会社の総合競争力と収益力をさらに高めることを目的としているという。また、全株主が社会的責任を積極的に履行し、広汽三菱汽車の解散・清算を回避し、消費者の権益を保障し、従業員の再就職に協力するとしている。

1~9月の広汽グループ全体の生産台数(180万4,205台)と販売台数(179万4,264台)はそれぞれ前年同期比1.6%、1.7%の微減で、そのうち広汽三菱汽車の生産台数は4月に0台、5月に1台だった。なお、広汽グループとステランティス(本社:オランダ・アムステルダム)との合弁企業の広汽菲亜特克莱斯勒汽車は2022年に破産している(2022年11月2日記事参照)。

(梁梓園)

(中国、日本)

ビジネス短信 d0c80eee62b8021a