大連市、中国北方地域初のLNG中継機能備えたハブ港に

(中国)

大連発

2023年11月09日

中国大連市に位置する遼寧自由貿易試験区の国家管網集団、大連液化天然ガス(LNG)の受け入れ専用ターミナルから10月30日、中国石油集団がリース運航する運輸船「MU LAN号」が6万5,000トンの保税LNGを積んでタイ向けに正式に出航した。所要日数は6日間だ。これは、中国北方地域初のLNG中継貿易で、大連市が中国北方地域では初めてLNG中継機能を備えたハブ港となったことを示す。10月31日付「遼寧日報」によると、稼働開始後、毎年15隻の大型LNG船の同ターミナル停泊が見込まれるという。これにより港湾貨物取扱量は200万トン以上、輸出額にして100億元(約2,100億円、1元=約21円)以上増加し、同市政府の重点政策の北東アジアの国際運航センター、物流センターとしての機能拡充を推進していく存在となる見込みだ。

中国、日本、韓国は世界最大級のLNG消費国(注)と同時に、大連市から日本や韓国までの輸送日数は最大5日のため、同市はLNG中継貿易の発展に優位性があるという。今後、LNG中継業務を担う大連LNGは日本、韓国をはじめ、中国南東部の沿海地域、ベトナム・ハノイ市へ市場開拓を進めていく予定。

10月31日開催の中国税関総署定例記者会見で、同署企業管理・稽查司黄伶俐副司長は制定した「加工貿易の持続的で質の高い発展の推進に関する改革実施プラン」について説明した。黄副司長は「このプランは、主要輸入地となる中国の中部、西部、東北部における戦略物資の加工貿易の発展を支援する。地域資源の優位性と産業の特性を組み合わせ、原油、石炭、天然ガス、鉄鉱石、銅精鉱などのエネルギーと資源商品や穀物など大口商品の輸入をサポートする」と述べた。同プランの実施も大連市のハブ港機能強化にプラスに働く可能性がある。

(注)エネルギー・金属鉱物資源機構のデータによると、2023年1~9月の日本のLNG輸入量は前年同期比12%減の4,891万トン、中国のLNG輸入量は同10%増の5,113万トンに達し、日本を上回った。

(呉暁東)

(中国)

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