法人税などの増税策含む財政再建法が成立

(チェコ)

プラハ発

2023年11月30日

チェコのペトル・パベル大統領は11月22日、財政再建に向けた65の法律改正から成る「健全化パッケージ」(2023年5月17日記事参照)に署名した。2024年1月1日付で施行される。

同パッケージは、2024年に977億コルナ(約6,546億円、1コルナ=約6.7円)、2025年には530億コルナの財政赤字削減を目指すもの。2年間での財政赤字削減額1,507億コルナのうち784億コルナは歳出減額、723億コルナの税収増で達成する。なお主な増収措置は添付資料表を参照。

このほか企業に関する措置としては、社用車の私的利用に係る課税所得加算(注1)に関して、ゼロエミッション車のカテゴリーが新たに追加された。課税所得への加算額を当該車両購入価格の0.25%と設定し、現行法上0.5%が適用されている低排出ガス車と区別する。また、会計制度に関して、機能通貨(注2)がユーロ、米ドル、英ポンドの場合、これらの通貨を会計上使用することを可能とするなどの項目も含まれている。

産業界は、法人税などの増税により国内企業の国際競争力が低下することを危惧している。産業連盟は10月23日付の声明で、企業にこうした負担が課されるのであれば、「その見返りとして、例えば研究開発(R&D)経費の課税控除、応用科学研究の体系的支援あるいは公的機関のデジタル化など、企業にとってポジティブな措置を講じることを求める」と宣言している。

(注1)雇用者が被雇用者に対して社用車の私的利用を無償で許可している場合、現行法では当該車両購入額の1%(低排出ガス車の場合0.5%)が課税所得として月額賃金に加算される。

(注2)国際財務報告基準(IFRS)で定める企業が活動を行う主たる経済環境の通貨。

(中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 cac8e949fc2e4e2b