大日本印刷、米ノースカロライナ州にバッテリーパウチ製造工場建設を発表

(米国、日本)

アトランタ発

2023年11月30日

米国ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は11月28日、大日本印刷(DNP)が2億3,300万ドルを投じて同州デビッドソン郡リンウッド市に車載用リチウムイオンバッテリー(LiB)のバッテリーパウチ製造工場を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

DNPは印刷技術の1つであるコンバーティング技術(材料加工技術)を生かし、LiBの外装材のバッテリーパウチの実用化に1990年代後半に成功し、世界トップのシェアを獲得している。同社は福岡県と埼玉県の工場でバッテリーパウチの生産を行っているほか、デンマークでバッテリーパウチのジャンボロールのスリット加工を行う工場を新設すると発表している。また、バッテリーパウチについて、2025年までに1,000億円の売り上げを目指すと発表しており、特に米国での電気自動車(EV)優遇策による需要急増への対応を検討していた。今回の新工場は、同社にとって初めての米国でのバッテリーパウチ生産となり、352人を新たに雇用する予定で、2026年度の稼働を目指している。

クーパー知事は2023年10月に東京都内で開催された第45回日本・米国南東部会日米合同会議に出席しており(2023年10月16日記事参照)、その時にDNP幹部とノースカロライナ州で成長するクリーンエネルギー部門について議論するとともに、同州デビッドソン郡を進出先として選ぶよう奨励したとのこと。クーパー知事は「10月の東京でのDNPとの会談は実り多いものであり、DNPがノースカロライナ州にEV用バッテリーパウチ製造施設を建設することに感謝している」と述べた。

同州では、LiBに使用する合成黒鉛の大手メーカーのイプシロン・アドバンスト・マテリアルズによる6億ドル以上の投資(2023年11月1日記事参照)や、トヨタ自動車によるEV関連バッテリー工場への80億ドルの追加投資(2023年11月7日記事参照)、先端材料研究のフォージ・ナノによるLiB製造工場建設のための1億6,500万ドル以上の投資(2023年11月20日記事参照)など、バッテリー関連投資が相次いで発表されている。

(檀野浩規)

(米国、日本)

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