韓国政府、R&Dの革新方策・グローバル推進戦略を発表
(韓国)
ソウル発
2023年11月30日
韓国の科学技術情報通信部は11月27日、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政府のR&D革新方策(以下、R&D革新方策)」と「世界をリードするグローバルR&D推進戦略(以下、R&D推進戦略)」を発表した。
今回のR&D革新方策とR&D推進戦略は、今までの政府のR&D(研究開発)投資が基礎・源泉研究や次世代技術開発に集中していなかったこと、R&Dシステム革新が不足していたことを是正すべく策定したもので、制度、投資、国際協力の3大分野の革新を骨子としている。以下では、R&D革新方策とR&D推進戦略の詳細を紹介する。
(1)尹錫悦政府のR&D革新方策
管理者目線で作られた制度と規制を改善し、(1)挑戦的・革新的研究が優先される環境づくりのための「制度革新」、(2)政府が行うR&Dの本来の役割である基礎・源泉技術、(3)次世代技術中心の投資に転換する「投資革新」の3点に重点を置いている。主な内容は次のとおり。
- 革新・挑戦的研究は予備妥当性調査を積極的に免除し、研究の成功・失敗の評価を廃止
- 研究施設・装備の調達にかかる期間を120日から50日に短縮
- 一年中、随時、優秀研究課題を選定し、研究費使用期間と会計年度の一致を段階的に廃止
- 専門性を高めるため、同一機関研究者による研究課題の評価を容認
- 次世代技術分野への大型R&D投資を拡大
- 研究機関・大学の大型源泉技術開発のため、「国家技術研究センター(NTC、注)」を軸にした体制を強化
(2)世界をリードするグローバルR&D推進戦略
グローバル技術競争に対応すべく、R&Dの戦略性を強化し、国内の優秀な研究者がグローバル研究に活発に参加できるように、グローバルスタンダードに合わせた研究のエコシステムを構築することに重点を置いている。主な内容は次のとおり。
- 政府R&D投資の中でグローバルR&D投資が占める割合を1.6%から6~7%に引き上げ、グローバルR&D投資額を今後3年間で5兆4,000億ウォン(約5,940億円、1ウォン=約0.11円)+アルファに拡大
- 国家戦略技術、カーボンニュートラル技術分野のグローバルR&D戦略マップを策定し、主要分野別にグローバルR&Dプロジェクトを発掘・推進
- 日米韓共同のグローバルR&D協力プロジェクトを新設・推進
- 海外で、グローバルR&D協力を担当する「グローバルR&D戦略拠点センター」を運営
- 政府R&Dへの海外研究者の参加、海外との知的財産権共同所有など、グローバルR&Dの制度を改善
(注)NTC(National Technology Center)は特定技術研究を行っている複数の研究機関を1つの研究事業にまとめ、共同研究などができるようにするスキーム。
(李海昌)
(韓国)
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