コロンビアのペトロ大統領、ベネズエラとの首脳会談でエネルギー統合を提唱

(コロンビア、ベネズエラ)

ボゴタ発

2023年11月24日

コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領とベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は11月18日、ベネズエラで首脳会談を行った。会談でペトロ大統領はコロンビアの石油公社エコペトロールによるベネズエラのガス田開発への参入など、両国のエネルギー統合に向けた協力に意欲を示した。

首脳会談では移民、和平、気候変動、エルニーニョ対策などの幅広いテーマが扱われたが、ペトロ大統領は「エコペトロールが(ベネズエラの石油公社)PDVSAのベネズエラ国内でのガス田・油田開発で再びパートナーとなる可能性が高い」と述べたほか、「電力をベネズエラに供給し、化石燃料をコロンビアに輸入する。恐らくカリからアジアに輸出される。これらにより両国のエネルギー安全保障が確保される」と締めくくった。

エコペトロールは11月21日、両首脳のやり取りに呼応するかたちで、ベネズエラからの天然ガス輸入を2024年12月に開始する意向を同社ウェブサイトで公表した。PDVSAに対する米国の経済制裁が10月に一部緩和されたこと(2023年10月20日記事参照)がその契機としており、ガス輸送については2015年から停止している2国間パイプラインのアントニオ・リカウルテを使用することを想定している。2国間のエネルギー統合に関する具体的なプロジェクトは公表されていない。

ペトロ大統領は公約として、国内で新規石油探査を保留する方針を示している。そのような中でベネズエラのガス田開発への協力意向を示したことで、ベネズエラへの依存が増え、コロンビアのエネルギー主権を懸念する声が上がるなど、各方面で物議を醸す状況となっている。

(豊田哲也)

(コロンビア、ベネズエラ)

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