2023年通年のGDP成長率予測値を3.2%に下方修正

(香港)

香港発

2023年11月21日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は11月10日、2023年通年の実質GDP成長率の予測値を3.2%に修正すると発表した。香港政府は8月時点では、4.0~5.0%と予測しており(2023年8月16日記事参照)、大幅な下方修正となった。

香港政府統計処は同日、2023年第3四半期(7~9月)の主要経済指標の改定値を併せて公表。第3四半期の実質GDP成長率の確定値を前年同期比で4.1%とした(添付資料図参照)。10月31日に公表した速報値(4.1%)から修正はない。

香港政府の経済顧問である梁永勝氏は2023年第3四半期の香港経済について、「インバウンド観光と個人消費に牽引され、回復を続けた。サービス輸出は著しい成長を続けたが、外需が低迷したため、中国本土や米国、EU向けの輸出が大幅に減少した。全体的な投資支出は、低水準の比較対象に対して18.4%と急激に回復した」と振り返った。また、梁氏は今後の見通しについて、「インバウンド観光と個人消費が年内の経済成長を下支えし続けるだろう。しかし、地政学的緊張の高まりや金融環境の逼迫といった厳しい外部環境は、香港の財輸出、投資、消費マインドに引き続き重くのしかかるだろう」と指摘した。

上海商業銀行のライアン・ラム調査責任者は「個人消費が引き続き堅調で輸出も改善する見込みであるため、香港政府のGDP成長率予測値は達成可能」との見解を示した。今後の見通しについて、「第4四半期のGDP成長率は4.0~5.0%と予測するが、投資マインドの悪化により、2024年の景気回復は鈍化するだろう」との見方を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」11月11日)。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

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